楽天ジャバリ・ブラッシュ外野手(29)が、衝撃の2発で球団史上最大7点差からの逆転劇を呼び込んだ。

0-7の4回に2試合連続の7号2ランを放つと、8回には左翼席へ推定飛距離140メートルの特大8号2ラン。9回にも辰己のサヨナラ打につながる適時打で3安打5打点をマークし、チームに貯金「1」をもたらした。

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追い風に乗ったブラッシュの打球は、左中間スタンド後方の観覧車まで届きそうな勢いだった。8回、ソフトバンクのドラフト1位ルーキー甲斐野の152キロを粉砕した。「非常にいい投手。何とか点を取りたい気持ちだった。今年打った本塁打の中で、最も手応えのある1発だった」。衝撃の弾道が球場の空気を一変させ、仲間を勇気づけた。大砲の前を打ち、自身2度目の1試合5安打とチャンスメークに徹した銀次は「あれでまだいけると思った」と感謝を口にした。

4回の2ランは下手投げの高橋礼からバックスクリーンにたたき込んだ。チームが完璧に封じられた前回対戦時は出場しておらず「ほとんど地面の高さから浮き上がってくる。あんな投手は初めて」。未知の軌道に戸惑いながら、2打席でアジャストしてみせた。3日の敵地ソフトバンク戦で11-12と劇的なサヨナラ負けを喫していた悔しさもあった。「何とか今日やり返してやるんだという強い気持ちがあった。最後の回も全員が1つ1つつないで、辰己が決めてくれた。これはチーム全員でつかんだ勝利だ」と熱っぽく言った。

4月28日のロッテ戦以来となる今季2度目の1試合2発。デーゲームのランチ前、テレビには昨季まで同僚で右肘手術からの復帰戦に臨むエンゼルス大谷が映っていた。「僕も(復帰を)気にしていたんだ。うれしいね。彼の打席をしっかり見させてもらったよ」と笑顔で話す。異国での新たな挑戦において、大谷との会話がヒントになっている部分もあるという。「期待の持てる選手であることは間違いない。今後活躍すると思うよ」。海の向こうにエールを送ったナイスガイは、大谷を育んだ日本の地でもっとたくさんのアーチを描くつもりだ。【亀山泰宏】