就任8年目の日本ハム栗山英樹監督(58)が通算527勝目を挙げ、並んでいた水原茂氏を抜いて球団歴代単独2位に浮上した。

令和本拠地初戦となったオリックス7回戦(札幌ドーム)は、今季3度目の完封リレーで1点リードを守りきり、節目を飾った。チームは貯金を1とし、9日同戦で2週間ぶりの連勝を目指す。

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栗山監督は勝利の瞬間、いつものように三塁側ベンチ前に出て、選手をねぎらいながら出迎えた。球団歴代単独2位となる通算527勝目にも「あんまり関係ないけどね」。そっけなく振り返るワケがある。「オレが勝ったワケじゃない。選手たちが勝った。そこに、たまたまオレがベンチにいただけ。選手、スタッフ、球団の人たちに感謝でいっぱい。それしかない」と頭を下げた。

球団の前身、東映時代に水原氏が積み上げた勝利数を抜いた。「憧れすぎちゃって口に出すのもおこがましい感じ」。水原氏に加え、日本ハムの初代球団社長を務めた三原脩氏の2人を「野球を形作ってくれた大先輩。三原さん、水原さんというのは1つの時代だったと思う」と尊敬する。

栗山監督は水原氏が中日の監督を務めていた時代を知る星野仙一氏から当時の逸話を聞いたことがある。

栗山監督 旅館に泊まっても、そこの浴衣とかは絶対に着なかったんだって。大島紬(つむぎ)をいつも持ち歩いていて、旅館でもホテルでもピシャッと着ていたんだって。三原さんは一度、都落ちして巨人に向かう。水原さんは超エリート。オレは自分がダメダメくんだから、そっち(水原氏)にはちょっと…。水原さんって本当に完璧な人。能力があって、格好良い。

プロ野球の一時代を築いた名将の人となり、戦術も勉強しながら、独自の野球を広げ、負けないよう努力も続ける。歴史書を読みふけることも多いが、昨オフまでに日本最古の書物とされる「古事記」や「日本書紀」も読破したという。「だいたいのことは、過去に誰かが経験している。物事の摂理は、全て同じ。そういう本の中に答えを探し求めに行っている」。すべては、水原氏ら過去の偉大な先人を超えるため。新たな野球の可能性を追い求める努力を惜しまない。

完封リレーで節目を飾ったが、攻守に細かいミスもあった。「流れ的に、もっとやらないといけないこともあった」。栗山監督は浮かれることなく、ただひたすらに次の勝利を目指していく。【木下大輔】