今季のスローガン「猪突(ちょとつ)猛進」そのままに、明大が突っ走った。開幕戦黒星のあと、1分けを挟んで9連勝。ユニホームの袖には、猪(いのしし)のワッペンがあった。善波達也監督(56)は「これ(猪のワッペン)が走らせてくれました」と指さして笑った。

故島岡吉郎監督時代のそれを亥(い)年の今年、30年ぶりに復活させた。島岡監督の口癖が「なんとかせい」だった。勝負どころで飛びだしたセリフ。教え子の善波監督が引き継いだ。「今季は『なんとかせい』を何回いいましたか」と振り返る。

チーム打率はリーグ4位の2割5分6厘しかなかった。そんな打線が、監督のゲキにこたえた。得点圏で101打数29安打、2割8分7厘と数字を上げた。打率1位(2割9分7厘)の早大は、逆に得点圏で2割6分2厘と下げた。打点は明大45、早大42で上回った。

4番北本一樹三塁手(4年=二松学舎大付)は「追い込まれたとき、なんとかするのが明治の野球。苦しい試合が多かったですけど、いつも意識しています」と話した。50得点中、2死後の得点が34点もあった。この日は7点差を逆転した。ワッペンとともに「なんとかする」野球も復活した。善波監督が「御大(島岡監督)も喜んでいると思います」と言って空を見上げた。【米谷輝昭】