ラッキーボーイは俺だぁ~。阪神木浪聖也内野手(25)が途中出場ながら2安打2打点と大逆転勝利に貢献した。

6点を追う7回1死二塁から代打出場すると、バリオスから中前適時打を放ち反撃ののろしを上げた。8回にはエスコバーから右前適時打をマーク。初の大舞台で輝いたルーキーは「ちゃんと準備はしていたんで、あそこでタイムリーが2本出て良かった」とはにかんだ。

プロ1年目のシーズンがルーキーをたくましく成長させた。今季はセ・リーグの新人では同僚近本に次ぐ113試合に出場。3桁にあと1歩の95安打を積み上げた。2日前には甲子園の1軍練習から離れて、鳴尾浜で行われた2軍の練習試合に志願して出場。試合勘を失わないために実戦で調整する道を自ら選択した。その姿を見た矢野監督も「プロになってきた。(CSで)ラッキーボーイになってくれれば」と目を細めていた。

数年前とまるで違う。大学時代の恩師である亜大・生田勉監督(53)が証言する。「(大学時代は)なんせ、すぐ緊張するんですよ。サイン間違いに、けん制アウトに、もうミスばっかり。せっかくのチャンスも全然だめ。使えばエラーしたり、ミスしたり。いつも怒られて…」。プロでの自信が木浪を大きく変えた。

指揮官の言葉を借りれば、「奇跡」は始まったばかり。木浪は「勢いが付いたら止まらないと思う。自分がそういう(ラッキーボーイ的な)存在になれば。自分のこともしっかりやってチームが勝てればいいですね」と力強く言った。矢野阪神には頼もしいラッキーボーイがいる。【桝井聡】