新任の楽天三木肇監督(42)が「挑戦のススメ」を説いた。

秋季倉敷キャンプ第1クール4日目の2日、守備総合練習と題された走者付きの内野守備練習で守備位置のシャッフルを行った。遊撃手、二塁手を頻繁に入れ替えたり、内外野を守れる渡辺佳を今季77試合の1軍出場で1度も守ったことのない一塁手につかせることもあった。

指揮官は2つの意図を説明する。1つは対応力の向上だ。「複数のポジションを守れるというのは必要なこともある。練習でやってないことは試合ではできない」。レギュラー選手が負傷した場合に、1軍定着を目指す若手選手がカバーできれば、チャンスも与えやすくなる。

2つ目は、本職の技術向上だ。「自分が守っているポジションに対してのプレー、考え方、見方が変わってくる。今日の二遊間の選手はみんな両方できるけど、ショート(が本職)の選手がセカンドをやることで戻った時に生きることもある」。実際に渡辺佳は横浜高時代、一塁手が定位置だった。それでも、普段とは違った動きをすることで、連係プレーの理解度も増してくる。

三塁を守った和田は今季巨人からトレードで加入後、外野手で16試合、一塁手で15試合に出場。登録を抹消された9月以降、高校時代は定位置だったサードを約2年ぶりに守り始めた。「外野よりも細かく足を使って守るので、僕は打撃にも生きてくるのかなと思います」と攻守を超えた相乗効果を口にする。全体練習後の特守では照明が照らされるグラウンドでノックを受け、泥だらけになりながら、ボールを追った。

第1クール最終日の3日には、三木監督就任後初の実戦となる紅白戦が行われる。野手には「自分のスイングの形をつくって強いボールを打つということができるか。作戦面ではサインが出た時にそれを理解してやろうとすることができるか、成功できるか」。投手には「変化球でカウントをとったり、ブルペンでシュートを投げたりしているので、味方が相手なので難しいところもあるかもしれないけど、インサイドを投げきるというところ」とそれぞれに求める部分を明確にした。「個々にリポートに課題で書いてあったことは、一通り頭に入っている。選手たちが今どれくらいのことをやっているのかに期待したい」。“三木流”浸透へ着々と計画を進めていく。【桑原幹久】