レジェンド球で1軍に切り込む。故星野仙一元監督の母校、倉敷商出身の高卒新人右腕の楽天引地秀一郎投手がプロ初の地元登板で「カミソリシュート」を披露した。

3日、秋季倉敷キャンプでの紅白戦に登板。元大洋(現DeNA)の200勝投手、平松政次氏の握りをまねたシュートで右打者の内角をえぐり、1回を3者凡退に抑えた。持ち球だったが小山投手コーチの案で1年目は封印。今秋から解禁し「ファウルでカウントがとれたので使えるなと思った」と手応えをつかんだ。

小学生の頃、父親が買ってくれた「変化球バイブル」を読み、同郷の名投手の変化球を知った。現役時代の映像は見たことがないが「指を縫い目にかけずに滑らせて、動かすより曲げたい」と理想と感覚がマッチ。親指と人さし指で挟んで落とす、元オリックス佐藤義則氏の代名詞「ヨシボール」、元ロッテの小宮山悟早大監督が編み出した「シェイク」などとともに遊び心で投げるうちに「カミソリ--」を中学3年から試合でも使うようになった。

最速151キロ右腕は小山コーチからヤンキース田中のスプリットの握りを学び練習中。「まだ自信がないので…」と“マー君スプリット”は試投できなかったが今キャンプでの習得を目指す。今季の1軍登板はゼロ。切れ味抜群の魔球を携えて、まずはプロ初登板を目指す。【桑原幹久】