控えめとは思えない大声が、スタートの合図だった。西武の新人合同自主トレ2日目となった11日、育成ドラフト3位・宮本ジョセフ拳外野手(21=名古屋学院大)が存在感を発揮した。100メートル走ではスタートのたびに大声を上げた。

ランニングに悪戦苦闘するドラフト1位の渡部健人内野手(22=桐蔭横浜大)に対して「声を出していこう!」と鼓舞。「まだあれでも抑えている方。まだ周りの選手が殻を破っていない感じなんで」と先頭を切ってもり立てた。

守備に入れば、2つの誇りをグラブに刻む。父親の母国ガーナと、日本の国旗の刺しゅうを入れてプロに飛び込んだ。「自分は生まれた時から日本とガーナの血が入っている。日本人じゃなくて、もう1つの血もあるんだということで、日本とガーナの国旗を入れています」。フィリピン人の母を持つ渡部や、米国人の父がいるドラフト6位タイシンガー・ブランドン大河(22=東農大北海道オホーツク)ら個性派ぞろいの中、ムードメーカー役を担う。

50メートル走は5秒9。売りの快足はメード・イン・ジャパンだった。「僕、昔は足遅かったんすよね。高校入学当時は8秒3。高2がちょっと速くなって7秒5」。高校3年で6秒台を出した。プロでスピード勝負するレベルではなかったが高校、大学で腸腰筋をトレーニング。「大学でもそれを続けて。大学1年で5秒9が出て速くなった」とプロの扉をこじ開けた。フォームは陸上ジャマイカ代表ヨハン・ブレークで「ヨハン仕込みです」とニヤリ。「けがなく、楽しく、全力で! めっちゃ楽しくやりたいと思っています!」。登録名はジョセフ。規格外の明るさで、育成からのし上がる。【栗田成芳】

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