ヤンキースFAの田中将大投手(32)が、楽天に復帰することが決まった。28日、球団が入団の基本合意を発表した。背番号は「18」。メジャーへの夢を正式表明した13年12月17日の記者会見を、当時の紙面で振り返る。

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楽天田中将大投手(25)が17日、来季からのメジャー挑戦の希望を表明した。仙台市内の球団事務所で立花陽三球団社長(42)と面談。この日、日本野球機構(NPB)と米大リーグ機構(MLB)との間で移籍に関する新しいポスティングシステムが発効し、申請の受け付けが始まった。田中は新制度による移籍を求めた。残留を望む同社長は即答を避けたが、球団として最終的にはメジャー挑戦を認める可能性が高い。今季24勝無敗の絶対エースが、次のステージへと前進した。

会見室に入るや無数のフラッシュを浴び、田中は「熱っ」とつぶやいた。テレビカメラ10台を含め、集まった報道陣は約50人。ぎゅうぎゅう詰めの熱気を前に、正面を見詰め、自ら口を開いた。

田中 本日、球団の方に、来シーズンをメジャーで挑戦させてほしいという希望をお伝えしたことを、ご報告します。また、立花社長には、お忙しい中、時間を割いて面談の場を持っていただいたことに感謝しています。

立花社長からは「容認」とも「却下」とも即答はもらえなかった。だが、「親身になって聞いてもらいました。コミュニケーションを、これまで通りしっかり取っていければ」と前向きに話した。話し合いの冒頭、残留を求められたが「それ(残留要請)も踏まえて、僕の気持ちを伝えさせていただきました」。ポスティング申請は球団の権利だけに「残留の可能性もあるのでは?」という質問も出たが、「僕から、それ(残留)を言うことはないと思います」。きっぱりとした口調に、海を渡る決意をにじませていた。

球団は、三木谷オーナーが「若い人が挑戦するのは良いことだと思う」と話すなど、メジャー挑戦を後押しするというのが前提だった。新システムへの反対から、ポスティング申請しない可能性が強まったが、関係者の話を総合すると、最終的には容認するとみられる。立花社長は「すぐには私1人で決断することはできない。預からせてほしいという話をした」と説明。現時点で球団の回答は未定を強調したが、「しっかり全員と話しあって、できるだけ早く結論を出さないといけない」と付け加えた。1週間もすれば、米国はクリスマス休暇が始まる。移籍にせよ、残留にせよ、来季編成に与える影響を考慮。今後の日程は未定だが、三木谷オーナーを含む球団幹部で議論し、早期に結論を出す。

節目の会見を終えても、田中は落ち着いていた。ようやく自らの言葉で心中を明かす日を迎えたが「(新制度成立は)僕にコントロールできるものではないので、すべて決まってからと思っていた」と冷静に振り返った。気持ちを貫き、球団に思いを伝えた。即座にメジャー挑戦への手形は得られなかったが、大きな1歩をしるした。【古川真弥】

<田中の一問一答>

-大リーグへの熱意を、どんな言葉で伝えたか

田中 まずは、入団して7年間、楽天イーグルスにお世話になった、育てていただいたという感謝の思いと、また、自分自身の力を新たなステージで挑戦させてほしいという気持ちを伝えました。

-立花社長からは、どういう言葉を得たのか

田中 お話は、何度もこれまでもしてきましたが、今日、ポスティングシステムが正式に合意したので、「その言葉を預からせてほしい」と。

-今日は結論が出なかったのか

田中 はい。

-新システム締結まで葛藤はあったのか

田中 システムが決まらない限り、何もできないので、決まるまでは何も考えていませんでした。

-心は決まっている

田中 う~ん。自分の希望として、伝えさせていただきました。

-去年、将来的なメジャー希望を話していた。気持ちは変わらなかったのか

田中 将来的に挑戦したいというのは変わらなかった。シーズンが終わって来シーズンのことを考えたとき、新たなステージで自分の力を出したい、挑戦したいと思いました。

-球団の答え、感触は

田中 非常に親身になって話を聞いてもらいましたし、今後もいろんなことを含めてお話をしていくことになる。

-来年のキャンプインを考えると、今後は時間がタイトになる

田中 それは、今日システムが決まったことなので、分からない。

-次回の会談は

田中 まだ次の話し合いはいつとかは、していません。

-球団が希望をかなえてくれそうか

田中 それは分かりませんよ。今日結論が出たわけじゃないですし、今後も話し合いをしていくことなので。

-今後も希望を訴えていくのか

田中 訴えるというか、思っていることを話していきます。球団の方からも思っていることは(言え)と。話し合いですから。

 

(2013年12月18日付日刊スポーツ紙面より)