阪神大学野球春季リーグが3日、ほっともっとフィールド神戸で開幕し、3季ぶり優勝を狙う天理大が好発進した。プロ注目で自己最速145キロ左腕の井奥勘太投手(4年=立正大淞南)が大産大戦に先発し、7回を1安打完封勝利。コールド勝ちに貢献した。

「初戦は絶対に落とせない。ゼロで抑えられて結果的には良かった。『1試合1人で投げきる』と監督にも言われています。自分の中では『マウンドを降りない』と思っています」

序盤から相手を寄せつけない。この日、最速143キロの速球のほか、持ち球のカーブやチェンジアップ、スライダーを駆使して手玉に取る。5回、先頭にスライダーで空振り三振。次は速球で遊ゴロに詰まらせ、最後は右打者への外角低めチェンジアップで空を切らせた。二塁を1度も踏ませず、クリーンヒットは1本もない。内野安打1本に封じ込め、エースらしく、格の違いを見せつけた。

藤原忠理監督(55)も「慎重に投げていました。もう少しスピードも出る。あの体のわりにインコースを突ける投球をする。出どころが見にくい。腕の振りより球が来ている」と信頼を寄せる。172センチと小柄だが小気味よい。指に掛かった速球にはキレがあった。オリックス内匠政博スカウトも「自分の持ち味をきっちり出して良い形の投球をできた。右打者へのチェンジアップと左打者へのスライダーでうまく自分のパターンの抑え方を持っている。カーブもあるし、投球の幅は広い」と評価した。

プロを目指して、レベルアップを図る。目標は同じ左投手の工藤公康(現ソフトバンク監督)だ。「伸びのあるストレートと体の使い方です」。YouTubeで投球動作の解説動画を参考にする。3月6日には阪神2軍戦(鳴尾浜)に登板して5回2失点だった。「ストレートで全力でいって、差し込むファウルも多く取れたのは収穫。プロを目指して、毎日練習しています」。この日、打線も10安打8得点で大勝。春の開幕を幸先よく滑り出した。大黒柱らしく「いいスタートを切れました。絶対に優勝を狙って、やっていきたい」と自覚をにじませた。【酒井俊作】