“7回の壁”越えた。広島床田寛樹投手(26)が今季初めて7回を投げ、1失点に抑えた。4回に3連打で1点を失ったが、今季最長の7回は150キロ超の直球を投じるなど、気迫の投球を披露。今季2勝目はならず、チームは引き分けで5位に転落となったが、床田の好投が光になった。

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球数が100球を超えても、床田の球威は衰えなかった。同点の7回1死一、二塁。4番岡本は鈴木誠の好捕にも助けられ、直球の後の緩いカーブで右飛に打ち取った。スモークには球場のスピードガンが150キロを計測した直球とチェンジアップの緩急でフルカウントとし、最後はスライダーで空振り三振。109球を投げ抜き、流れを相手に渡さなかった。

「最後、思い切り投げようと。次の回は打席が回ってくる。ほぼほぼその回で交代だと思っていたので、何とかゼロで抑えようと思って投げました」

今季は登板6試合目で初の7回マウンドだった。ここまでの最長は6回。昨季も15試合の先発で7回を投げ切った試合は2試合しかなかった。「何とか長いイニングを投げたい」。今季先発左腕の柱と期待される床田にとって、7回はひとつの壁だった。7回は鈴木誠、4回は菊池涼の好捕にも救われた。離脱した会沢に代わってバッテリーを組んだ石原を含め、本調子でない中でも野手陣の援護を受けて“7回の壁”を乗り越えた。

チーム唯一の得点は自分のバットで奪った。1点を追う5回1死三塁。「自信はないですけど、めちゃくちゃ好き」という打撃で「同点タイムリーのイメージで打席に入りました」という。適時打にはならなかったが、左翼へ飛球に三塁走者クロンがタッチアップで本塁に滑り込み、値千金の同点犠飛となった。

連敗を止めることはできなかったが、連敗を伸ばすことは阻止した。佐々岡監督は「余力があったんだろうけど、ギアが入って振り絞った投球だったと思うし、よく粘ったと思います」と終盤の投球をたたえた。チームが5位転落となる中、成長を示した投球は一筋の光を差した。【前原淳】

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