数センチの世界で、最善を尽くした。楽天田中将大投手(32)が、日本ハム相手に今季ワーストの4失点で2敗目を喫した。札幌ドームでは07年9月26日以来14年、12戦ぶりの黒星(クライマックス・シリーズ含む)。同球場での連勝は8で止まった。初回に2失点し、2回以降はプレートの立ち位置を変え、ツーシームを多投。勝利を呼び込めなかったが、故障から復帰後4度目の登板で今季最長タイの7回を投げ、次回登板が見込まれる15日オリックス戦(ほっともっと神戸)へ収穫を得た。

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60・96センチ。田中将が横長のプレートの真ん中に右足を置いた1回、いきなり日本ハム打線につかまった。1死から連打で先制を許し、2死二塁から王柏融に高めスライダーを中堅フェンスまで運ばれた。適時二塁打で2点目を与え、マウンド上で小さく首をかしげた。「相手がいい投手なだけにいきなり2点を奪われて、というふうになると苦しくなる。そういう形を作ってしまったのはいけなかった」。ベンチに腰掛け、うつむく。対策を巡らせた。

結論は、数センチの違いに出た。2回以降、プレートの踏み位置を一塁側に変更。直球と同様の球速、軌道から、わずかにシュートするツーシームを多投した。9人中7人がそろう左打者の内角への“フロントドア”で腰を引かせた。右打者の内角もえぐり、詰まらせた。スプリット、スライダーを軸にした前回登板とスタイルを変え「自分なりに工夫しながら何とか立て直せたらな、と。その日その日できるベストを尽くしていくしかない」と攻めた。

講じた策を実行したが、中盤にも失点。4回2死満塁で宇佐見に右前適時打を許し、思わず天を仰いだ。6回を終え91球。石井GM兼監督から降板を示唆されたが、続投を志願。7回を7球で3者凡退に片付けた。「行こうと思えば次の8イニング目もいけるような感じだった。今までより長いイニングを投げられた。それはすごくいい方向、いい材料になったなと思います」と、試合終盤に求めていた感覚に触れられた。高校時代を過ごした北の大地での悔しさを、未来へつなげる。【桑原幹久】

▽楽天石井GM兼監督(田中将に) 後半は自分の中で良くなってきた、という話があった。6回ぐらいで代わっても、と思ったけど球数も少なかったし、今後のことも見据えて投げてもらった。中盤以降、真っすぐの力がいい感じになったので、出だしは少しもったいなかった。

▽楽天茂木(5回に3試合ぶりの1発となる6号ソロ) 追い込まれていたので三振覚悟で割りきっていきました。

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