地元の熱い声援に、巨人北村拓己内野手がパワーをもらった。4回1死一、二塁、DeNA中川の内角直球を振り抜いた。ライナーで左翼席に運ぶ1号3ラン。見慣れたフェンスを越えると、右拳をぐっと握った。「お世話になった方々や石川県のファンの皆さんの前で打つことができて格別です。忘れることはないと思います」と感慨にふけった。

星稜3年の夏、甲子園出場を決めて仲間と喜び合ったのも、この場所だった。「球場に入った瞬間に思い出しました」。中学時代からの甘酸っぱい青春が詰まった思い出の地に、巨人のユニホーム姿で8年ぶりに戻ってきた。「プロ野球人生で1回あるかないか。1軍で戻って来られたのは何かの縁を感じます」。昨年8月4日のプロ初アーチは、第1子の長女が誕生した日だった。この日はスタンドから両親、家族、恩師らが見守っていた。「良い時も悪い時も腐ることなく、上を向いて必死にやるということを貫いてきた。神様が打たせてくれたのかなと思います」。大事な夜に、ぶれない姿勢が報われた。

開幕は1軍だったが2軍で鍛錬の日々を送ってきた。10日の1軍昇格後は16打数8安打で打率も5割だが、満足はしない。「日本一に必要な選手になれるように、1日1日、一生懸命やります」。プロを目指したあの頃から見上げてきた地元の夜空に、改めて誓った。【小早川宗一郎】

▽巨人北村の父英治さん(北村の母弘美さんら家族とスタンドで観戦)「感動しました。予感はしていました。そういう人間なので、節目節目でやるんじゃないかなと思っていたのでね。与えられたところで一生懸命頑張ってほしいです」

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▽巨人丸(3回2死一、三塁、復帰4戦目で2本目の1発となる6号逆転3ラン) 失投とは思いますが、浮いてきた直球を力負けせず上からたたけた。ある程度強いスイング、いいスイングができている証拠。

▽巨人サンチェス(6回1失点の好投で5勝目) 調子は決して良いとは言えなかったが、味方が点を取ってくれたおかげで先発の最低限の仕事をできた。

▽巨人ウィーラー(規定打席に到達し、リーグトップの打率3割3分7厘をマーク) 意識せずにその時その時でチームのために最善を尽くしたい。