日刊スポーツ評論家の中西清起氏(59)と桧山進次郎氏(52)による特別対談の第2弾。阪神の投手コーチと主力選手として、05年リーグ優勝の天国と13ゲーム差を逆転されてV逸した08年の地獄を知る2人が、矢野阪神の前半戦の戦いを総括。目指す16年ぶりVへ後半戦の戦いを指南した。【取材・構成=松井清員】

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-前半戦を首位で折り返した阪神の収穫と課題は

中西 一番の収穫は佐藤輝、中野、伊藤将、及川らの若い力、フレッシュな人材が戦力として活躍できたこと。リーグ最多の71盗塁が示す機動力も効果的で、終盤1点を争う場面では熊谷や植田らが、早いカウントで仕掛けて得点につなげた。課題は7、8回の岩崎や岩貞らが疲労が抜け切れていないシーズンになっていること。前半の最後はスアレスで持っていた。スアレスがつぶれたりヘタると優勝はない。いかに岩崎、岩貞に踏ん張ってもらうか、違う投手を準備するか。

桧山 佐藤輝や中野らこれだけ若い選手が出てくるシーズンはなかなかない。今いる選手も刺激を受けているでしょう。あとは中西さんが言う通り、リリーフ陣ですね。でも及川は春先より球が速くなってないですか。ひょっとして及川あたりが勝利の方程式に?

中西 エキシビションマッチでは先発も試すようだけど、可能性は大いにあるね。投げっぷりがいいし、自信を持って投げている。

-佐藤輝は新人左打者最多タイの20本塁打

桧山 佐藤輝の6、7番はいいですね。三振は多いけど、ルーキーでここまでできるのは素晴らしい。中軸に気を使ったあとにガツンといかれると投手は落ち込む。1年目で緊張感もあっただろうし、五輪期間の1カ月でリフレッシュして後半戦頑張ってくれたら。

中西 20本だからね。でも、打線は佐藤輝ではない。やっぱり4番の大山。大山がしっかりしてこないと。4番はチームを代表する打者。ドン詰まったりとんでもない三振、見逃しするとベンチの士気が悪くなる。大山がどしっとしないと戦いが厳しくなる。佐藤輝に期待したらダメ。6番で自分の打撃をさせることが大事だ。大山はチームを代表する選手で、後半戦は大山次第と言っても過言ではない。優勝できるかどうか打のキーマンだと思う。

桧山 僕もキーマンは大山と言いたいけど、あえて糸原ですね。矢野監督は大山が不調になった時、マルテやサンズを4番に入れることも考えているでしょう。ただ、大山の代わりは外国人がいるけど、糸原の代わりの二塁はいないのではと思う。糸原が離脱したら痛い。つなぐ野球もできるし勝負も決められるので。

中西 投げる方はリリーフ陣。キーマンは岩崎だね。岩崎がこの1カ月でリフレッシュして本来のキレのいいボールを取り戻せるか。ただ東京五輪に出るので休めないのが心配になる。

桧山 投手は完全にスアレスですね。壊れると大変なことになる。もちろんスアレスがいても岩崎が壊れるとつなげない。東京五輪参加の時間を何としてもプラスにしてほしいですね。(つづく)