阪神近本光司外野手(26)が4戦ぶりに1番打者に戻り、奇跡の逆転Vへ打ちまくる。17日から甲子園での勝負の5連戦が始まる。逆転CS進出に勢いづく広島との2連戦から始まり、首位ヤクルトとの最後の直接対決2連戦、そして中日戦が待つ。近本は「この5試合だけじゃなく、残り試合に全部勝つことができるように」と残り8戦全勝を誓った。

首位打者、最多安打よりもバットで優勝へ望みをつなぐことを最優先する。「1本でも多く安打を打つことで、チームの勝ちにつながる可能性が高くなる。タイトルのことを考えても、あまり良い方向にも働かない」。リーグ2位の打率3割1分8厘でトップの広島鈴木誠に5厘差。175本で最多安打はほぼ確実だが、タイトルよりも、勝利を呼ぶ打撃に徹する。

この日は秋空の甲子園で全体練習に参加し、フリー打撃では鋭い当たりを連発した。大山が背中の張りで3試合欠場した影響で、前カード巨人戦のラスト2戦は3番を任された。だが、大山が4番三塁に戻る17日からは「チカは1番に戻す」と、矢野監督の期待は大きい。

甲子園5連戦の相手先発は、広島玉村&九里、ヤクルト奥川&高橋、中日柳と難敵が予想される。それだけにほしいのは先制点。カウント別で今季の初球打率が4割4分1厘と一番高い近本に、矢野監督も「積極性はチカが、より高い。(近本が)1番っていうのも現状、一番いい形なのかな」と、指定席戻って打線を引っ張る姿を思い描く。

亀山&新庄フィーバーに沸いた92年は、最終盤でヤクルトにかわされ、甲子園で野村監督の胴上げを見せつけられた。ヤクルトの最短Vは20日で、再び屈辱を味わう可能性もあるが、広島に連勝すれば、最悪は回避できる。近本は「相手がどうとかではなく、最後まで自分たちの野球ができるように」と引き締めた。奇跡への導火線となり、打線に点火する。【石橋隆雄】