阪神奇跡の逆転Vが絶体絶命の危機だ。先発秋山と4番手アルカンタラが鈴木誠らにソロ4発を被弾。打線に跳ね返せる反発力はなく、クライマックスシリーズ(CS)進出に勢いづく4位広島にのみ込まれた。勝った首位ヤクルトの優勝マジックは4まで減って3ゲーム差をつけられ、最短Vは20日の甲子園での直接対決。屈辱の目の前胴上げは何としても阻止すべく、もう勝ち続けるしかない。

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冷たい秋風が吹く甲子園は、ため息の連続だった。デーゲームでヤクルト勝ち、逆転Vへ必勝が至上命題だったホーム5連戦初戦の広島戦。今季10勝中5勝を稼ぐ鯉キラー秋山が、まさかのアーチ攻勢に沈んだ。

0-0の3回。8番林に左翼へ流され先制ソロを献上。1番宇草には右越えソロを浴びた。4回には最も警戒していたはずの4番鈴木誠にカーブを痛打され、中堅左にソロをたたき込まれた。逆転CSへ怒濤(どとう)の進撃を続ける赤い軍団にのみ込まれ、ソロ3発で5回3失点。最多勝も絶望的になった右腕は「本当に大事な試合でこのような投球をしてしまい、チームに申し訳ないし情けないです」と声を振り絞った。

矢野監督も厳しい表情だった。「(打線も)序盤に点を取らんとね。アキ(秋山)もちょっと粘れなかった。ボールがちょっと高かったかな」。打線が低調なだけに、粘りの投球を期待していたが、ダメージの大きい点の取られ方だった。7回にはロハスの2ランで1点差に迫り、さあ逆襲だというところで、今度は4番手アルカンタラが鈴木誠にソロを被弾。矢野監督も「よし行くぞ、というところの1点やからね。負ける原因はそういうところにある」と悔やむ4点目が、最後まで重くのしかかった。

赤い軍団のソロ4発に対し、阪神はロハスの2ラン1発だけと反発力に乏しく、今季4度目の1万8000人越えの客席も秋風が身に染みる展開。矢野監督は「勝負にいっている結果なんでね。そりゃ、制球ミスしてほしくないし、(アルカンタラも)追い込んだから打ち取ってほしいと思うけど。結果を受け止めていくしかない。俺も気持ちの方は大事にしたいから」と、懸命に前を向いた。

首位ヤクルトの優勝マジックは一気に二つ減って4になった。最短優勝は20日、甲子園での直接対決。目の前で胴上げを許す危機に陥った。中村監督時代の92年、野村ヤクルトに最後にかわされ、甲子園で胴上げされた苦い思い出もある。屈辱を阻止するためにも、まずは18日の広島戦に勝って、ヤクルト2連戦に勢いをつけたい。これ以上、負けられない。【石橋隆雄】

▼ヤクルトの優勝決定は最短で20日の阪神戦。18日阪神○または△なら、19、20日に阪神●●のとき。18日に阪神●なら、19、20日に阪神●●のほか△●でもヤクルトの優勝となる。