離島育ちの“宇宙人”が、妹の夢を後押しする。楽天ドラフト4位の神村学園・泰勝利(たい・かつとし)投手(17)が鹿児島市内のホテルで入団交渉に臨み、契約金3500万円、年俸550万円で基本合意した。

奄美大島出身で夢は「165キロ」「人間離れした宇宙人と呼ばれたい」と豪語する最速150キロ左腕。「お金を持つと周りの見方が変わる。言動に責任を持ちたい」と自覚を示した。

腕を振らなきゃいけない理由がある。小学6年の妹美心(みこ)さんは、自身もプレーした少年野球チームの瀬戸内ファイターズに所属も部員は5人のみ。契約金でチームに野球道具を送る予定で「不自由なく野球ができる環境を作ってあげられれば、人も増えると思う」と離島球児の夢を途切れさせない。

自身も神村学園で女子野球部に所属していた姉の影響で、小学4年から白球を握ったが、中学には野球部がなかった。練習相手はもっぱら両親。1人、島を離れ、夢をかなえた。「活躍して、島にいいニュースが流れるように頑張りたい」。海上タクシー運転手の父から「何事にも勝負事には勝て」と言われ続けた。家族の思いを背負って、プロの世界で勝ちまくる。【桑原幹久】

<球界の主な宇宙人>

◆新庄剛志 型破りな言動やパフォーマンスが魅力。阪神監督時代の野村克也氏から宇宙人と呼ばれた。

◆糸井嘉男 視力2・0ながら、さらに視力を上げようとレーシック手術を受けようとしたほど。常人とはかけ離れた思考が魅力。

◆柳田悠岐 人間離れした身体能力は、まさに宇宙からの贈り物か。18年日米野球でサヨナラ本塁打を放つなど、スケールの大きさはトップクラス。

◆井納翔一 DeNAから巨人へのFA移籍に際し、球団に宇宙人としての売り出しを自ら提案。「進撃の宇宙人」はグッズ化。