神戸で逆転日本一や! オリックスの球団応援歌「SKY」を書き下ろしたMEGASTOPPERのメンバー244(つよし)さんが、制作過程から曲に込めた思いを明かし、エールを送った。阪急ブレーブス時代からのファン。96年日本一の舞台、神戸の空に響く「SKY」が、ミラクル劇演出になるよう願った。

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初戦に劇的な逆転サヨナラ勝ちをした後はシーソーゲームを落とし3連敗で崖っぷちに。だが5戦目、AJ弾でヤクルトの日本一を阻止し、中嶋監督、ファンも望んだ「神戸に帰ろう」を実現させた。「SKY」を手がけたバンドでギターを担当する244さんは「神戸に戻ってくれて、めっちゃうれしい」。東京ドームでの試合もテレビ越しで応援した。

04年末にオリックス・バファローズが誕生した際、球団歌も一新されることになり、公募を経て「SKY」が決まった。244さんによると、約1カ月間、毎日飽きるまでスタジオにこもって制作。明るく元気な曲調に仕上がったが「僕たちはロックバンド」と、ロックテイストは意識した。「完成した時は絶対いける」と手応えも十分。メジャーバンドも多く参加したが、見事に選ばれた。

冒頭からギターやドラムで前奏を盛り上げ、絶妙なタイミングで歌詞が入っていく。思わず口ずさんでしまい、どこを切り取っても「かっこいい」楽曲だ。今季球場内での声出しは禁止されているが、手拍子やタオルを掲げるだけでも球場は一体となり、選手を後押しする力へと変わる。

名曲を生み出した244さんらのルーツは音楽だけではない。さかのぼること37年前。当時大ヒットしたドラマ「スクール☆ウォーズ」の影響で、ラグビーを始めた。ポジションはフランカー。社会人まで続けた。メンバーのDOMIもラグビー経験者で、自然と波長が合った。「ラガーマンにしか分からない熱いものがお互いあって」。

忘れられない記憶がある。甲子園での交流戦に足を運び、レフトスタンドの応援団から奏でられた「SKY」に、自然と涙が流れた。「ビジターで人数が少ない中、SKYで盛り上げてくれている応援団の方々にはめっちゃ感謝しています。グッときました」。楽曲の持つ力、ファンの熱量に感動した。

「ファンの皆が歌ってくれてなんぼ。やっててよかったなと本当に思いますし、バンドマン冥利(みょうり)に尽きます」

ナインとファン、一体になって育まれた「SKY」。神戸の夜空に響けば、日本一への何よりもの力になるはずだ。【三宅ひとみ】

○…今年他界した淀川工(現淀川工科)ラグビー部時代の恩師で、元監督の岡本博雄さんも「SKY」の球団歌決定を喜んでいた。生前「初めてラグビー部でミュージシャン出たわ! 自慢しよう」と言われたといい、244さんは「岡本先生が喜んでくれたことが本当にうれしくて。今でも思い出します。僕の誇りです」と話した。

◆SKY 04年のリーグ戦後、オリックスと近鉄が合併。新たに生まれたオリックス・バファローズの球団応援歌として公募で選ばれた。作詞・作曲はMEGASTOPPERのメンバーが担い、球団歌としては、斬新なロックナンバー。「戦え」や「打て」という言葉をあえて避け、ファン目線での思いを歌詞につづっている。244さんは「野球を一生懸命応援しているファンの風景を歌詞にした」と説明する。ファンと選手の距離感を絶妙に歌詞に落とし込む唯一無二の球団応援歌として愛され続けている。

◆MEGASTOPPER(メガストッパー) 大阪を拠点に活動する4人編成バンド。近畿各地を中心に活動を続ける。メンバーはDOMI(ボーカル、ベース)244(ギター)INO(ギター)Ryohey(ドラム)。

◆244(つよし、本名非公表) 1973年(昭48)3月18日、大阪府生まれ。小学生でラグビーを始め、フランカー。高校ではラグビー部に所属しつつバンド活動も。当初はボーカルでその後はギターに。「物心ついたころ」から阪急ファン。大工の仕事を抱え、夜はギターの弾き語りなど、関西圏を中心に活動を続けている。