阪神2年目の伊藤将司投手(25)が18日、開幕投手候補に急浮上した。読売テレビの早朝情報番組「す・またん!」に生出演した矢野監督が明言した。

「開幕投手を任せたいのは?」のトークテーマに、井上ヘッドコーチの秋山1択に対し、指揮官は「(競争を)楽しみたい」と、用意されたフリップに青柳、秋山、西勇の中堅組に加え、伊藤将の名を刻んだ。

昨季左腕は新人ながら10勝7敗、防御率2・44と安定した成績を残し、信頼度を高めた。フリップに「競争で!」と記した指揮官は「俺は競争ってずっと言っているから。将司だってその可能性がないわけではない。競争のなかに『入ってこいよ』っていうか、『入ってきてくれたらな』っていう期待を込めて、名前を入れた」と説明した。

矢野監督はチームに「絶対的エース」が存在しない現状を「弱みでもあるし、強みでもある」と表現した。昨季18勝(5敗)と圧倒的な数字を残したオリックス山本を例に出し「エースで1人ですごいたくさんの貯金をつくるというのは、ありがたいこと」と話した上で、「うちのチームでいえば、全員が安定して貯金してくれたら、それはそれでやっぱり頼もしい。俺としては『強み』と捉えて、全体が上がっていくような先発投手陣にしていけたら」と相乗効果を期待した。

伊藤将はさらなるレベルアップを目指し、阪神時代に3度開幕投手を務めたオリックス能見に弟子入りし、自主トレに励んでいる。14日には「個人としては最多勝を取れるように、去年の青柳さんくらい勝てるようにやっていきたい」と高い志を示していた。

昨季13勝で最多勝の青柳、2年連続2桁勝利の秋山、20年に開幕投手を務めた西勇との激戦を制し、球団では85年の池田親興以来、左腕に限ればチーム史上初となる2年目での大役を射止める。【古財稜明】

▼2リーグ分立後、阪神の開幕投手を最も多く務めたのは小山正明、江夏豊、メッセンジャーの6度。伊藤将が2年目に開幕投手となれば、阪神では85年の池田親興以来。2リーグ後にはほかに54年の小山、60年の村山実が2年目で、52年の三船正俊、55年西村一孔は新人で務めている(87年キーオは来日1年目)が、いずれも右投手。江夏も初の大役は3年目で、左腕で2年目以内に開幕投手なら初めてになる。