4月10日のオリックス戦(ZOZOマリン)で完全試合を達成したロッテ佐々木朗希投手(20)には今、海外からも注目が集まる。一方で、同期入団の横山陸人投手(20)も昨季すでに1軍デビューを果たしている。サイドスローから150キロ前後の威力ある直球を投げ込み、将来性を高く評価されている。プロ3年目の今季はまずは2軍のストッパーとして起用され、実績を積んでいる。オンラインインタビューで現状を尋ねた。【金子真仁】

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開幕1軍入りは逃したものの、横山陸人は頼もしさを増している。

3月21日のイースタン・リーグ西武戦(カーミニーク)、開幕2戦目が自身初登板になった。2-2の9回裏、2死満塁でカウント3-1。次の球がボール判定だったら、押し出しサヨナラになる。心境は。

「何とも思わなかったです、別に。サヨナラ負けは避けたいな、くらいで」

失策と2四球で満塁を作っていた。「勝手に自分が力んでボール球を増やしてしまっただけの場面だったので。しっかりゾーンに投げてれば、まっすぐでフライ上がるだろうなという感じで投げました」。1球ファウルでフルカウントにすると、6球目を相手が打ち上げた。二飛。イメージ通りに切り抜けた。

ストッパー起用が続く中で、失敗もある。4月21日の西武戦(ロッテ浦和)は1点リードの9回に登板し、暴投で追いつかれた。左打者の外角へ落とすつもりのシンカーが、内角に向かってしまった。

「浮いてはいけない気持ちの方が強かったと思います。ワンバウンドのボール球でもいいというイメージで投げた結果が、ひっかいて、ああいう形になってしまって」

ただ、その言葉の後に「自分の中では悪い失敗ではないのかなっていうふうには思います」と付け足した。1軍で活躍するために、1つ1つの場面から多くを学び、生かす。考え方も含め、ハートが強くなっているのがうかがえる。

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専大松戸(千葉)時代から直球の威力が評判のサイド右腕だった。19年ドラフト4位で入団。プロ1年目、石垣島キャンプで初めてブルペンに入った日も、佐々木朗に無数の注目が集まる横で、力強い球を投げていた。

そのフォームが今年、少し変わった。走者がいない時、上げた左足が1度、止まるように見える。1軍の守護神、益田直也投手(32)のフォームに似ている。意識しているのだろうか。

「意識…そうですね、お手本と言いますか」

そんなふうに言葉を選びつつも「映像とかいろいろたくさん見てたら、ちょっと意識してみようかなという感じで」と続け、最後には「ちょっとまねしてみてます」と笑った。

益田に誘われ、1月は石垣島自主トレに参加した。「3年目ですし、しっかり今年は結果を出したいなと自分の中でもすごく強く思っていたので」と、成人式も欠席して南国へ飛んだ。感想は「死ぬほどきつかったです。走りましたね」。

きつい分だけ、学びも多かった。「足で1回立ってバランスを整えてから、もう1回向かったほうがいい」。益田からの助言をもとに投げると、良い感覚だった。「足を止めることによって、投げ急ぎというところがなくなって。だいぶ制球力が良くはなっているのかなと思います」。力むとボール球の比率が増えるのは課題ながら、厳しいコースを突ける場面も増えた。

プロ3年目、20歳。同期の佐々木朗の完全試合には「まぁ、もう、ちょっと、あれですね、あそこまで来るとアニメの世界みたいなレベルになってきちゃうので」と笑いながら、横山にも高卒投手の後輩が4人いる。「自分もしっかりお手本というか、慕われる先輩になれるように」。照れくさそうに話す。

164キロ右腕と比べる必要性はない。横山も順調にステップアップしている。「種市さんとかも、3年目で試合数とかも多く投げ始めた年だったと思うので。自分も3年目にしっかりチームに食らいついていけるようにと思っています」。いつか無双の継投を。自分のペースで、そこへ進む。