純矢のために! 阪神梅野隆太郎捕手(30)が、先発西純矢投手(20)を強力援護した。

糸原の適時打で追いつき、なおも2死一、三塁の6回。デラロサの151キロ直球をしぶとく右前に運んだ。 「自分がかえすしかない場面。純矢も頑張っていたし、一気に逆転することができてよかった」

今季初タイムリーで、初の決勝打だ。次打者席では原口が代打の準備をしていたが、逆転したことで西純が打席へ。後輩の続投もアシストした。

その西純が「梅野さんのおかげ」と感謝したリードも光った。91球のうち31球がフォーク。ワンバウンドに体を張り、何度も低めを意識させるジェスチャーを繰り返した。右腕が昨年5月19日、プロ初勝利を挙げた際も捕手は梅野。「ストライクに困る感じはない」と成長に目を細める。

「1人でやる方が落ち着くからさ。いろいろ考えながらね」。2月の沖縄・宜野座キャンプ。午前8時過ぎに球場入りし、誰もいないサブグラウンドに向かうのが日課だった。音楽を聞き黙々とランニング。チームのこと、自身のこと…。雑音をシャットアウトする孤独な時間が、頭と心を整理する大切な時間だった。

それでも、グラウンドに立てば1人じゃない。藤井康1・2軍巡回打撃コーチや矢野監督から日々アドバイスをもらう。ここ数試合はバットを寝かせるなど試行錯誤。「少しでもコンパクトに出るようにと思って」。打率2割3厘と本調子ではないがカバーしてくれる仲間がいる。何よりこの日は、ミットを目がけて投げ込む20歳との共同作業で1勝をつかんだ。

昨年は得点圏打率3割2分1厘を記録。勝負強い男が復活をアピールした。「やっぱりバッテリーで勝っていかないといけないので、頑張っていきたいと思います」。西純のヒーローインタビューの裏で、背番号2は早くも次の戦いへ視線を向けた。【中野椋】

▽阪神井上ヘッドコーチ(決勝打の梅野について)「坂本と併用している感じなので難しいところもあるんでしょうけど、腐ることなく今年1年ずっとやってもらいたい。打ってほしいのもだけど、一番はキャッチャーとして抑える。それに重きを置いているとすれば、この流れの中でよくやっているのかなと思う」

○…糸原が4年ぶり4度目の1試合4安打で復調気配だ。2回の第1打席で中前に17打席ぶりの安打を放つと、1点を追う6回1死一、三塁では左前へ同点適時打を放った。昨季13打数無安打に抑え込まれた巨人先発高橋から3安打。「やられたら、やり返さないといけない」と逆襲に成功。前日30日まで打率1割台と低迷。「崖っぷちなんで、立場が。1試合1試合全力で戦うだけ」と安打量産で巻き返す。

○…近本が9回にダメ押しとなる右翼線適時二塁打を放った。3回に14打席ぶりの安打となる右翼への二塁打。7回にも左安で今季初の猛打賞だ。「内容的に見て気にするところじゃないなと」と、状態は悪くなかった。昨年5月19日ヤクルト戦では決勝ソロを放ち西純のプロ初白星をアシスト。今季1勝目も3安打1打点できっちり援護した。

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