輝に「キモティー!」あげちゃいます!? 西武、ロッテなどで活躍したG・G・佐藤氏(43)が日刊スポーツを通じ、自身の決めぜりふの「キモティー!」を阪神佐藤輝明内野手(23)に禅譲するプランを明かした。佐藤輝が5日の日本ハム戦で先制打を放った際に「キモティー!」のせりふを初使用。G・G・佐藤氏も大感激で、球界で活躍する佐藤姓の「1等賞を目指して」とエールを送った。【取材・構成=真柴健】

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6月14日付の日刊スポーツ大阪版。佐藤輝がインタビューに応じ、「もっとキモティー!を叫ぶ」が3面見出しになった紙面を見たG・G・佐藤氏は仰天した。「え、スゴイ! 本当にキモティー! って言ってくれてるんだ!」。自身の現役時代を思い出した。

「初めて西武ドームで『キモティー!』を叫んだときは、シーン! ってなったよ(笑い)今の何? みたいな。ただ、2回目から浸透して、ワァってなった。輝明くんにも、1回目の殻を破ってほしいですね」

まだ、お立ち台では披露されていない佐藤輝の「キモティー」には「オリジナルを指導しますよ」と出張授業も引き受ける意気込み。自身の決めせりふの「権利を売りたい。使わなくなったら、もう1回、僕が買い取る前提で(笑い)。直接対談で(権利)交渉したい」とユーモアたっぷりに佐藤×佐藤の対面を夢見ている。

プロ入り時に登録名G・G・佐藤に変更した理由は「僕、名字が佐藤でしょ? コンプレックスがあったから、生まれ変わりたかった。一生懸命、野球やっていても、佐藤姓のスターがいなかったんで。パッと出てこなくないですか? 高橋は由伸さん、田中はマー君、鈴木はイチローさん。佐々木も、大魔神と朗希くん。佐藤さんは…」

だからこそ、令和に現れた「佐藤輝明」に願いを託す。「“本物の佐藤”がついに現れた。純正で、スーパースターの気配がある。関西の枠を超えて、全国区になってほしい。輝明くんには、佐藤一族の1等賞を目指してもらいたい」。プロ野球の佐藤と言えば佐藤輝明。キモティー! の生みの親が、佐藤輝のさらなる活躍を願っている。

 

○…G・G・佐藤氏は幼少期の佐藤輝が自身の現役時代にテレビゲームで選手起用していたことに大喜びした。伝え聞くと「マジ? じゃあ、輝明くんが野球をここまでうまくなれたのは、僕のおかげもあるんですね? 1%はあるでしょ!」と爆笑した。自身が北京五輪に出場した08年は、佐藤輝が9歳で「輝明くん、俺に夢見てたんじゃないですか? ついに佐藤が来た!って」と同姓の星としての奮闘に胸を張った。さらに「(ゲームで)佐藤輝明選手、マジで使いたいです、プロスピで、まだ持ってないんで」と佐藤輝の起用を約束した。

○…G・G・佐藤氏は決めせりふ「キモティー!」だけでなく、自身のキャッチフレーズ「愛の波動砲」を佐藤輝に継承してほしいと希望した。「愛の波動砲、佐藤輝明! 使ってもらおう! 良い名前だし、ゴロも合っている」とニヤリ。さらには「輝の波動砲!でも良いね!」とノリノリだった。

◆G・G・佐藤(ジー・ジー・さとう)本名・佐藤隆彦。1978年(昭53)8月9日、千葉県生まれ。桐蔭学園-法大-フィリーズ1Aを経て、03年ドラフト7巡目で西武に入団。07年に25本塁打を放ち、レギュラーに定着。08年北京五輪に日本代表として出場。11年10月に西武から戦力外通告を受け、イタリア・プロリーグ、日本のクラブチームでプレー。12年11月にロッテの入団テストに合格し、NPB復帰。14年10月に再び戦力外となった。通算587試合、507安打、88本塁打、270打点、打率2割7分6厘。株式会社トラバースの副社長を務めるかたわら、タレント活動、YouTube、SNSなど幅広く活躍。現役時代は184センチ、98キロ。右投げ右打ち。

◆G・G・佐藤氏と阪神佐藤輝の交流 きっかけは昨年4月23日DeNA戦(甲子園)での佐藤輝のプロ初失策だった。2点ビハインドの5回1死満塁で神里の右前打を後逸。打者走者まで生還させ、一挙4点を献上する大失策となった。これに08年北京五輪の左翼守備で“世紀の落球”を経験したG・G・佐藤氏がツイッターで「1度の後逸は仕方ない。でも、今のエラーにしっかり向き合って心を整えないとまたエラーするから、落ち着けTT佐藤くん」と投稿して話題となった。

こうした縁もあってか、佐藤輝は今月5日の日本ハム戦で先制打を放った際、「キモティー」とG・G・佐藤氏の代名詞を使ってコメント。すると同氏はツイッターで即反応。「TT佐藤輝明選手最高! キモティー!!」とつぶやいた。佐藤輝は12日のオリックス戦で13号アーチを放った際も「キモティーです。キモティよかったです!」とコメント。「一番に頭の中にキモティーって出てきたんで、それを言っただけです」と笑顔で明かした。佐藤輝にとって同氏は、小さいころにテレビゲーム「実況パワフルプロ野球」でよく使っていた選手だという。

◆「佐藤」姓のプロ野球選手 現役選手では阪神佐藤輝明、蓮、中日佐藤優、オリックス佐藤一磨、ロッテ佐藤奨真、都志也、楽天佐藤智輝、ソフトバンク佐藤直樹、宏樹、琢磨、日本ハム佐藤龍世、西武佐藤隼輔の12人。田中13人に次ぎ、中村12人と並んで現役では2番目に多い姓だ。OBでは40歳11カ月でノーヒットノーランを達成し通算165勝の佐藤義則(阪急、オリックス)や、52年に新人王、57年本塁打王に輝いた佐藤孝夫(国鉄)、ユニークな言動と「パンチ」の愛称で人気者となった佐藤和弘(オリックス)らがいる。

◆佐藤姓アラカルト

▼全国最多 日本人の姓に関するサイト「名字由来ネット」によると、佐藤姓は全国に185万3000人で最多。以下(2)鈴木(3)高橋(4)田中(5)伊藤と続く。

▼有名人 64年から72年まで首相を務めた佐藤栄作は、沖縄返還に尽力しノーベル平和賞を受賞。佐藤浩市は日本を代表する俳優として存在感を誇る。サッカーの佐藤寿人は、J1通算2位の161得点。

▼球界では 選手としてNPB球団に在籍したのは、育成を含み92人。うち1軍公式戦に出場した選手は72人。通算165勝の佐藤義則や、150本塁打の佐藤孝夫らがいる。今季の現役選手では、佐藤輝明をはじめ12人。

◆株式会社トラバース 1976年(昭51)4月設立。大手ハウスメーカーの敷地調査部門や地盤改良工事部門を手掛ける。千葉の本社を中心に全国に24事業所を展開。社長はG・G・佐藤氏の父である佐藤克彦氏。G・G・佐藤氏は21年4月から副社長に就任。本社は千葉県市川市末広2丁目4番10号。