大逆転ミラクルVの使者が来る! 阪神は20日、元オリックスのアデルリン・ロドリゲス内野手(30=パドレス3A)と契約を結んだと発表した。背番号は「91」で、年俸は25万ドル(3250万円、金額は推定)。

マイナー通算215本塁打を誇る右の大砲は7月上旬に来日し、早ければ中旬にも1軍デビューの見込みだ。首脳陣は8人目の助っ人を一塁で起用する方針。打線強化で13・5差で追う首位ヤクルトを猛追する。

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阪神と契約を結んだロドリゲスが、球団を通じて力強い第一声を発した。「甲子園でみなさんの前でプレーすることを楽しみにしている。タイガースの勝利に貢献できるようにベストを尽くしたい。ガンバリマス」。海の向こうで早くも気合十分。もちろん期待はミラクル逆転Vの使者だ。嶌村聡球団本部長(54)は「当然、今年が大事。諦めていませんから」と、打線強化へ8人目の助っ人を緊急補強した狙いを明かした。

マイナー通算215発。3Aで昨年は116試合で29本塁打、94打点。今季も6月上旬までの45試合で主に主軸を務め、12本塁打、46打点と安定した成績を残した。矢野監督は「遠くに飛ばす力はある。1発で流れを変えるような打撃をしてくれたら」と大活躍を思い描かずにはいられない。

現在は米国から故郷のドミニカ共和国に戻り、個人練習を続けて阪神での活躍に備えている。7月上旬に来日予定で、隔離期間や2軍戦を経て中旬にも1軍デビューとなりそうだ。三塁や外野も守れるが、球団は本職の一塁起用を軸に考えているという。打順は現在の構成に当てはめると、3番近本、4番佐藤輝、5番大山に続く6番が有力か。この並びで本塁打を量産する強力打線が完成すれば、ミラクルVも夢ではない。

日本の野球を経験していることも大きい。20年のオリックスでは7月の日本ハム戦では逆転サヨナラ3ラン。だが、キャンプ中に脇腹を痛め、シーズン中も左手首に死球を受けるなど故障にも泣かされた。出場59試合で打率2割1分8厘、6本塁打、25打点で1年限りで退団となったが、体調さえ万全なら…と魅惑の長距離砲だった。当時は新型コロナウイルスの影響で、家族と離れるストレスもあったが、今回はみんなで来日し、安心して野球に打ち込める環境も整っている。

不動の3番一塁で計算していたマルテは右足の故障でリハビリ中。ロハスは精彩を欠き、代打要員となっている。開幕9連敗&最多借金16でどん底に落ちたチームは、リーグ1位の防御率を誇る投手陣の頑張りもあり、借金5の3位まで浮上。大山の覚醒など打線も活気づいてきたが、15度の完封負けなど浮き沈みが激しい。首位ヤクルトに13・5差離されているが、シーズンは半分以上残っている。ロドリゲスに救世主の期待がかかる。【石橋隆雄】

◆アデルリン・ロドリゲス 1991年11月18日、ドミニカ共和国生まれ。セントロ・エデュカティボ・ロス・パルマレス高を経て、08年にメッツと契約。マリナーズ、オリオールズ、パドレスなどのマイナーを経て20年はオリックスでプレー。21年はタイガース、今季はパドレスのマイナーに所属。マイナー通算1219試合に出場、1253安打、215本塁打、839打点、打率2割7分1厘。192センチ、95キロ。右投げ右打ち。

◆外国人枠は昨年に続いてベンチ入り4人で、1軍登録5人。登録枠の4人、あるいは5人全員を投手または野手にすることはできない。阪神では現在、ガンケル、アルカンタラ、ウィルカーソン、ケラー、ロハスの5人が1軍同行中。ロドリゲスが加わるとメンバーを入れ替える必要がある。2軍調整中のマルテの復帰、チェンの復調などもポイントになりそうだ。外国人はこれで2年連続球団最多の8人制。昨年は助っ人勢が好調で1軍に上がれないマルテが8月に不満を爆発させたこともあったが、ロドリゲスの加入でどうなるか。

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