梅ちゃん、待ってたで! 阪神梅野隆太郎捕手(31)が3連敗で止める決勝打を放った。同点に追いつかれた直後の8回2死満塁に代打で登場。三遊間を破る2点タイムリーで、接戦に終止符を打った。打撃不振や右脇腹筋挫傷による戦線離脱など苦しいシーズンを過ごしているが、復調の兆しを見せた。チームは4位に浮上した。

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打球はしぶとく三遊間を抜けた。梅野の執念が乗り移ったかのようだった。同点に追い付かれた直後の8回2死満塁。代打で登場し、中日清水のスプリットが少し浮いたのを逃さなかった。3万4757人の甲子園が大歓声に包まれ、ヒーローは二塁ベース上で、ベンチへ両手を突き上げた。

「ファーストストライクを思い切りいけたというのはよかった。ボール先行だったので、甘い球はと思って。狙った球が三遊間にいったのでホッとしている」。今季代打5打席目で初打点。次打者席で待つ中、先に代打で出た高山が合わなかったスプリットの軌道を頭にインプット。矢野監督も「あの流れの中でよく打ったよ」と称賛。初球スプリット、2球目スライダーとボール球に手を出さず、3球目のファーストストライクを仕留めた。

昨季はチャンスに強くリーグ2位の得点圏打率3割2分1厘を誇った梅野だが、今季は得点圏どころか極度の打撃不振で打率1割台が続く。「ファンのみなさんの期待をどれぐらい裏切ってきたかというくらい、裏切っていた。それでも、信じて応援してくれているので、応えたいという毎日を送っていた。本当にうれしいです」とお立ち台で正直な思いを口にした。

右脇腹痛で5月18日には2軍で再調整。7日に復帰後も坂本、長坂と3捕手併用が続いている。「めちゃくちゃしんどいですね。(シーズン)半分が終わった。なかなか出る機会も減っている中、プロである以上、ああいうところで結果を出していくことがね」。前日23日広島戦でも代打で安打。3打席連続安打と数字も残ってきた。

マスクをかぶった9回表には守護神岩崎がいきなり無死一、三塁のピンチをつくるが、1つずつアウトを重ね無失点で締めた。チームの連敗は3でストップ。負ければ再び最下位転落の危機で踏ん張った。6月は12勝5敗で今季初めて月間で勝ち越した。梅野は「負けたり、引き分けたりとしんどかった。チームとしてこの1勝は大きい」と声を弾ませた。久しぶりにお立ち台で「明日も勝つバイ」とファンとともに右手を突き上げた。やはり梅野の復調は、後半戦の巻き返しに欠かせない。【石橋隆雄】

○…近本が連続試合安打を21に伸ばした。球団史上単独9位に浮上。その1本が貴重なところで出た。2-2の6回1死で大野雄から中前にはじき返した。その後、満塁にチャンスが広がり、糸原の一時勝ち越し打へと続いた。前日23日の広島戦も土壇場9回に同点打。3番打者の奮闘が、6月の戦いを支えている。「全然気にしていない」という打率も3割をキープした。

○…守護神岩崎がドキドキの展開も無失点で今季14セーブ目を記録した。2点リードの最終回に登板。先頭の代打郡司、続く大島に連打を浴びて無死一、三塁のピンチを招いたが、後続を断った。リフレッシュ期間を経て23日広島戦から1軍復帰。延長12回に登場し、無失点も2死満塁の状況をつくっていた。矢野監督は「優の名前があるってことでベンチの落ち着きがある。これからまた上げていってくれると思う」と信頼は揺るがない。

○…伊藤将が省エネで今季初の中日戦に臨む。25日に先発予定。前回のDeNA戦(甲子園)は低めへの制球がよく94球で完投勝利。同じように積極的に打ってくる中日に対して「まずは自分の仕事。なるべく球数は少なくいきたい。少なければ少ないほどいいと思う。ドラゴンズも仕掛けが早いので、ヒットエンドランとかも警戒しながら」とイメージを描いた。

○…阪神 矢野監督は坂本の8回守備に複雑な表情を浮かべた。4-2の8回1死二、三塁から代打三ツ俣が中前打を放ち、中堅近本が本塁送球。ところが捕手坂本は本塁付近で捕球しきれず一時は同点となる走者2人の生還を許した。同監督は「(本塁で激しい接触を禁じる)コリジョンがあってなかなか(難しい)」としながらも、「あれを捕ってアウトにしてこそ、誠志郎だって言われると思う」と高いレベルを求めた。

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