高く、大きいワインドアップから腕を振り下ろす遠藤淳志投手(23)。

最速147キロから最遅109キロまで自在に投げ分けた。4月に「変化球のとき腕の振りが鈍くなっている」と首をかしげていた姿はもうなかった。低めに変化球を集め、コースを間違えない。6回2死一塁では2ランを打たれていた中田から内角113キロのカーブで見逃し三振を奪った。「(被弾から)切り替えができたからそういう結果につながった」。

■前回登板後会沢から厳しい指摘も

「変化球」がこの日のカギだった。前回登板の20日DeNA戦では5回5失点で降板。翌日には全体練習開始前にバッテリー会沢とみっちり話し合った。正捕手からは「変化球が入らないとピッチングにならない」と厳しい口調で指摘された。右腕自身も「確かに(変化球が入らず)投げていて苦しかった。変化球でストライクを取ることを反省点に置いた」。この日、中田から奪ったカーブなど変化球は光った。「しっかり変化球も操れた。正直今日は何投げてもカウントを取れた。そこは良かった」。課題の変化球も改善し、手応え十分の106球だった。

■「(監督の)不安を払しょくできた」

登板前は3戦連続、5イニング以下で降板していた。新型コロナウイルス感染で離脱などがあり、勝ち星も5月25日が最後。不安を振り払う7回2失点の好投。「監督も不安があったと思う。そういう不安を払しょくできた。自分自身も試合前は不安だったが、また次につながるんじゃないかと思う」。結果に胸を張れるのはマウンドでの好感触があったからだ。

■対戦26人に3ボール5度も、無四球

この日26人と対戦し、3ボールになる展開が5度あった。だが右腕に“四球”はよぎらなかった。「正直今日は何投げてもカウントを取れた。次のボールここらへんで腕振ったらここに行くだろうと考えながら冷静にできた」。言葉通り、無四球。マウンド上で感覚をつかみ好投につなげた。

■久々4勝目ならずもチームは勝利

遠藤は好投実らず、5月25日ロッテ戦以来、3カ月ぶり4勝目はつかなかった。それでも「チームが勝ったのが一番。無駄じゃなかったと思う。また次に良いところを見せられるように頑張りたい」と前を向いた。5回5失点でうつむいていた前回の登板後とは表情が違う。自信を胸に次回へ向かう。【前山慎治】