中本牧が、鮮やかな逆転で04年以来3度目の夏の日本一に王手をかけた。
関東連盟夏季大会準決勝で2-1の9回2死から逆転された因縁の相手。今回は逆に4回まで0-1とリードを許し、しかもそこまで無安打と沈黙していた。5回、2死から7番浅沼慈道主将(3年)の右前打、代打薬袋(みない)功祐(3年)の右翼線に落ちる二塁打で二、三塁とし、9番河内景虎(3年)のボテボテの三塁ゴロが内野安打となって同点。1番下茂汰介(3年)の適時打で逆転した。
先発の若杉一惺(3年)が5回まで1失点に抑え、2番手で登板の鈴木陽仁(2年)が2回を投げ切って、取手の春夏連覇を阻止した。
笑顔の村上林吉監督は「今日は投手陣だね。よく頑張った」とほめた。若杉は「アウトコースが弱いと聞いていたんでアウトコース中心に打ち取れたと思います」という。130キロを超える速球のほか、90キロを割るチェンジアップが効果的で「フライを打ちあげてくれて、効いていると思いました」と振り返った。鈴木は「最高です。厳しい場面を自分で抑えられた」と話した。最終回、振り逃げと安打で1死二、三塁のピンチを背負ったが、続く打者を浅い右飛に仕留め、右翼に入っていたのが若杉だったこともあって走者が動けず、最後は三振で締めた。
「薬袋なんて今まで打ったことがないのに(笑い)。野球って分かんないね」と村上監督。この日は相手に研究され、得意のセーフティーバントなど機動力を生かせず、苦しい展開になった。「よくここまで来た。ここまで来るとは思わなかったから、明日の決勝はどう対応するか、まだ全然分からない。世田谷西さんはよく打つし、よく走るしね」と、終始笑顔だった。春の全国選抜大会は準決勝で涙をのんだ。リベンジに臨む舞台には進んだ。
【取手 春夏連覇の夢が…】
取手の春夏連覇の夢が、ベスト4でついえた。
「私の選手交代が一手遅れてしまった。選手たちに申し訳ない」と、石崎学監督が泣きじゃくる選手たちを見やった。
先発の石井翔(3年)が、中本牧打線を封じていった。3四死球は出していたが、4回までノーヒットに抑えた。味方打線は3回、相手の失策で2番藤川倖生(3年)が出塁し、4番高野玲樹(3年)が右中間を破る二塁打で先制点を挙げたが、走塁で高野が足を痛めて退場し、4番不在のアクシデントに見舞われた。
快調に抑えていた石井だったが、5回に2死を取った後につかまった。安打を打たれた後、続く代打に右翼線にポトリと落ちる二塁打で二、三塁とされた。「打ち取った当たりがヒットになる時は、ツキがなくなったという事なのでいつもなら代えていたところだったんですが…」と石崎監督。石井のそこまでのノーヒット投球もあって判断が遅れたのかもしれない。続く9番打者はこれも打ち取った当たりだったが、ボテボテの三塁ゴロでどこにも投げられず同点に。直後に逆転の適時打を打たれた。最終7回に1番荒井優聖主将(3年)の中前打で1死二、三塁と逆転のチャンスは作ったが、後続を断たれた。
涙の荒井主将は「最後まで粘り強く戦えたんですが、力が出せなかった。(最後は)自分で決めたいと思って打席に入った。今年のチームは負けていてもあきらめない、いいチームになったと思います」と振り返り「ジャイアンツカップが残っている」と、前を向いた。



