歴史を塗り替えた。巨人山口鉄也投手(25)が21日、育成枠出身の選手としては初めて、新人王に輝いた。都内のホテルで開かれたコンベンションに出席、緊張した表情で会見の席についた。「3年前、育成で入団した時には、こんな日が来るとは思ってもみなかった。頑張って良かった」と、喜びをかみしめた。

 巨人に育成枠で指名される前には米・独立リーグで武者修行していた。「向こうでは次の日にいきなりクビというのも見てきた。1日、1日を大事に、がむしゃらに練習することが、その時に身についた。それが今に生きてると思う」と、苦労した日々にも思いをはせた。チームメートの坂本との争いだった。49票を集めた坂本に対し、91票と堂々たる評価を受けた。もちろん11勝という数字自体も素晴らしいが、票を集めた背景には、育成からはい上がったことへの称賛も含まれた。

 山口は中継ぎとしての誇りを口にした。「一生に一度のこと。重みを感じている。1年間フルにできたのが大きかった。中継ぎでこの賞を取れたことをうれしく思う」。来季からは新人王に輝いた誇りも胸に、マウンドに上がる。【竹内智信】