<ソフトバンク3-4楽天>◇20日◇福岡ヤフードーム
マー君がサプライズ守護神になった。楽天の田中将大投手(20)が9回から登板し、自己最速155キロの速球で押して2三振を奪うなど3者凡退でチームに1カ月ぶりの3連勝をもたらした。3日前のオリックス戦で今季最多の142球を投げたばかりだが、本人も驚く緊急救援でパ・リーグのチーム相手に初のセーブを挙げた。オールスター戦(24、25日)までの残り2戦、チームのためにフル回転の覚悟でいる。
どよめく空気が気持ちよかった。1点差の9回、田中の登板がアナウンスで響くと、スタンドが歓声と驚きに包まれた。「それが快感でもありましたけど」。初球から150キロを投げ込むと、10球目にはこれまでの自己最速を1キロ上回る155キロをマークした。不慣れな抑えの1イニングも打者3人、2三振。いきなり全開で投げきっていつもとは違う仕事を終え、勝利の雄たけびを上げた。
予想外の起用に経験が生きた。準備は7回から。「(投手コーチから)言われた瞬間は、マジかと思いました」と戸惑った。実際、ベンチのボードにも控え投手の欄に田中の名前はなく緊急登板そのものだった。それでも昨夏の北京五輪、3月のWBCで中継ぎは経験済み。心と体の準備は冷静にこなした。「問題なかったです。自分の球、自分の力を信じて投げた」。パ・リーグ相手のリリーフは初めてでも、11球に全力を注げばそれで十分だった。
前回登板は17日のオリックス戦。自己ワーストタイの13安打を浴びながら9回142球で投げきった。熱投から中2日。プロ初の経験だ。分業制となった現在は、短期決戦でも簡単にはお目にかかれない。それでも「僕はあると思ってましたよ。1イニングだけなら、疲れとかは関係ないんで」と涼しい顔で言い切った。先発した試合では、6月11日以来白星なし。「僕が投げている試合で勝ててなかったので、勝ちに結びつく試合で投げられてよかった」と、精神力で疲労もまとめてねじ伏せた。
身体能力の高さが自らを救った。先発ローテを守れば、右腕に疲労が蓄積する。それでも投げられたのは、たくましい筋肉のおかげだ。小山コンディショニングコーチは「昨年より下半身の可動域や力強さが増した」。星コンディショニングコーチも「投げる動作を支える、補助の筋肉がとても強い」と口をそろえる。昨オフには自身初の海外自主トレも敢行。投手の命と言える右腕を守る力を地道に養ってきたからこそ、過酷な登板にも耐え抜くことができた。
田中の仰天リリーフで、チームは約1カ月ぶりの3連勝。チームの借金も4に減った。野村監督も「(試合後に)ストッパーやるかって言ったら『いやいや』って。1イニングだけなら160キロは出る。やっぱり何か持ってるね。追い詰められた時に力が出る。大きな試合に強い。昔の稲尾や、稲尾が降りてきた」と絶賛。本人は「明日もしっかり準備して、力を尽くしたい」と言い切った。オールスター前だからこその限定ストッパー。先発でチームを支える20歳は、守護神でも力強く頼もしかった。【小松正明】
[2009年7月21日8時46分
紙面から]ソーシャルブックマーク



