<横浜3-2中日>◇27日◇横浜

 4時間17分の熱戦に決着をつけたのは、プロ13年目の苦労人だった。延長12回1死一、二塁、新沼慎二捕手(31)が中日岩瀬の外角高めの直球を打ち砕いた。「手応えはあった。行ったと思った」という打球はレフトフェンスへ。昨季までの12年間でわずか14安打。プロ入り通算20本目の安打が初のサヨナラ打なら、お立ち台も初。「この場面に立てるということは、チームに貢献できているということ。うれしい」と言葉を詰まらせた。

 実直な人柄は首脳陣の信頼も厚い。今春のキャンプでは鈴木2軍打撃コーチから「あいつに任せておけば間違いない」と、ルーキー筒香の同部屋に指名された。7月の昇格まで2軍暮らしが続いたが、控え捕手として黙々とブルペンで若手の球を受け続け、鈴木コーチを「あそこまで我慢ができるやつはいない」と感嘆させた。

 途中出場でチャンスで結果を出した31歳は「こういうポジションも長いですから」と笑顔で球場を後にした。【鈴木良一】

 [2010年8月28日11時57分

 紙面から]ソーシャルブックマーク