<オールスターゲーム:全パ3-1全セ>◇第3戦◇22日◇いわき

 東日本大震災の復興支援としては最後となる球宴には、福島県全域から3865人の野球少年が招待されていた。そんな一戦に特別な思いを胸に秘めて臨んでいた選手がいた。

 ロッテ今江敏晃内野手(29)は「少しでも笑顔になって欲しい」という思いから、支援活動で2年連続でいわき市を訪問している。昨年12月に計4校の小中学校を訪れ、子どもたちから「オールスター出てね」とお願いされた。7年ぶりの球宴出場で約束を果たすと、この日サプライズが待っていた。

 球場の最寄りのJR湯本駅で1年前に交流した少年20人が待っていた。「元気そうで良かったし、うれしかった」。試合前には記念写真に納まって「喜んでくれるプレーをする」と気合十分。6回から途中出場し無安打だったが「みんなで勝とうという話をしていた。ここに来てプレーすることに意味がある。良かった」と充実感をにじませた。

 特別な思いを抱いていたのは、今江だけではなかった。出場選手で唯一の福島出身の日本ハム矢貫は、4番手で登板し、直球で強気に押して1回を無失点に抑えた。「いつも以上に声援が大きくて、緊張しました。選出してくれた監督に感謝したい」としみじみ言った。スタンドには少年野球チームのかわいい後輩たち、中学時代の恩師らの姿があった。「もっと活躍して、支えてくれた人たちに感謝の気持ちを伝えたい。もっとプロ野球を身近なものに感じてもらいたい」と新たな目標をもらった。

 試合前にはフラガールによるダンスパフォーマンスがあった。試合中には福島出身の4人で結成された猪苗代湖ズが「I

 love

 you

 &

 I

 need

 you

 ふくしま」を熱唱。福島で初めて開催された球宴は、みんなが温かな気持ちでいっぱいになった。【斎藤庸裕】