不敵な笑みは「二重人格」から生まれていた。28日に行われたケイズフェスタ4 Day2(日本武道館)でスーパー・フェザー級王者・武尊(29)が、Krush同級王者・レオナ・ペタス(28)を2回KOで破り、ベルトを守った。試合中、相手のパンチを浴びながらも笑顔を見せるシーンが何度も見られた。その真意は何だったのか。29日の一夜明け会見で明かした。
武尊 AB型なので二重人格なんですよ。リングに上がると別の人格になって、楽しく戦おうと。絶対に負けられない試合だったし、まともな神経だったら安全に戦うと思う。
ボクシングなどでは相手を威嚇するために“強気に”笑顔を見せることもあるが、武尊は「仲のいい友だちのような。憎くて、ではなく、戦っていて楽しい特別な相手。フィーリングが合って、楽しく打ち合えると思った」と明かす。もともと打ち合う作戦ではなかったが、リングに上がった瞬間にスイッチが入り、作戦を無視して殴り合いを始めた。
試合前は、これまで味わったことのない重圧に悩まされていた。「気持ちの部分で耐えられない時期もあった。寝ていても朝まで記憶があった感じで熟睡できなかった」。今試合は自身のケガとコロナで2度の延期の末、4カ月たってようやく実現。さらに那須川天心との一戦への期待もあって「今までで一番いろんなものを背負った。こんなきついことやりたくないくらい」とプレッシャーに押しつぶされそうになった。そんな状況下ではあったが、リング上で別人格に“変身”することで、普段通りのパフォーマンスを見せることができた。
勝利後はプレッシャーからも解放。観戦に訪れた那須川に「最高の舞台で最高の試合をしたい。よろしくお願いします」と語りかけた。さらに応援に駆けつけた西川貴教と満面の笑みでツーショットも披露。「久しぶりにプライベートで笑った。昨日(28日)は記憶ないくらいよく寝ましたね」。プライベートも好調。テレビ番組の企画ながら、今月放送された恋愛バラエティーで、タレント・トリンドル玲奈の妹・瑠奈に思いを伝え、友人からの交際がスタート。以前から「今年30歳なので相手を探したい」と話しており、もう1つの夢の実現も近づいているかもしれない。
「負けたら引退する覚悟だった。勝たないとやりたい試合(那須川戦)も実現しないと思っていた」。さまざまな問題を抱え、水面下で動いていたが、レオナに勝利したことで、公の場でようやく「戦いたい」と言えるところまで来た。歴史に名を刻む世紀の決戦の実現までこれから1歩ずつ歩みを進めていく。そして、那須川戦でも、笑顔で戦う。【松熊洋介】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける男たち」)


