ボクシングファンの目は間違いなく肥え、ぜいたくになってきた。

かつては世界王者を作るにも四苦八苦した不遇の時代を過ごした日本ボクシング界だが、現在はスーパーバンタム級の世界4団体制覇王者の井上尚弥(大橋)を筆頭に世界に名だたる名王者が顔をそろえる。

その中で興行の形態も変わってきた。かつてはメインに世界戦1試合でアンダーカードを組むのが普通だった。今は1興行で複数の世界戦が組まれ、その世界戦も単なる挑戦や防衛戦に限らず、複数団体の統一戦、複数階級制覇など大きな看板を掲げる試合=ビッグマッチが当たり前のように組まれる。

先日も東京都内で「一大イベント」が発表された。3月13日に東京・両国国技館でトリプル世界戦が開催される。メインは世界フライ級の2団体統一戦。2階級制覇を果たしたWBC王者の寺地拳四朗(33=BMB)とWBA同級王者ユーリ阿久井政悟(29=倉敷守安)が激突する。

日本選手による他団体の王座統一戦は12年の井岡一翔-八重樫東、22年の寺地-京口紘人戦に続いて国内3度目となる。

寺地は「この大きな舞台でメインでできるのはうれしい。モチベーションはすごく上がっている」。対するユーリ阿久井は「3度目(の防衛戦)で統一戦のチャンスをいただけて、これをしっかりつかみたい。正直、相性が悪いといっては何だが、我慢比べの戦いになると思う。KO勝利を目指して頑張ります」。それぞれに力強く、決意を表明した。

寺地は昨年1月にWBA、WBC世界ライトフライ級王座を返上し、同年10月に11回TKOで2階級制覇を成し遂げた。ユーリ阿久井は岡山のジムに所属しながらの初の世界王座獲得で「地方ジムの星」としてベルトを守り続ける。

両者ともにテクニカルなイメージが強いがおそらく、今回が世界戦17戦目となる寺地有利の声が多数を占めるか。その声が寺地にとってプレッシャーとなるか、逆にユーリ阿久井が「やったる」の意地で追い風とするのか。日本選手で争うフライ級の頂上決戦は楽しみがたっぷり詰まっている。【実藤健一】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける」)