大橋ジムの注目のルーキーコンビが24日、東京・後楽園ホールでプロデビュー戦(6回戦)に臨み、そろって勝利を収めた。元東洋太平洋フェザー級王者松本好二トレーナーの長男松本圭佑(21)は、56キロ契約で三宅寛典(31=ビッグアーム)と対戦。初回にキャリア初のダウンを奪われたものの、そこから逆転し、4回TKO勝ちした。アマ8冠の実績を持つ中垣龍汰朗(20)は、堀井翔平(29=トコナメ)に2回に左ストレートでダウンを奪うと、再開後の連打で、同回2分2秒にTKO勝ちした。

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試合開始から20秒。アマで95戦の経験を持つ松本が、キャンバスに崩れた。カウンターの右をもらい、「気付いたら傾いていた」とキャリア初のダウン。それでも、セコンドの父の姿を確認すると、すぐに冷静さを取り戻した。「まずはディフェンス」。父の指示通りガードを固め、そこから切れのあるジャブでじょじょにペースを奪い返した。

2回以降は、緩急を付けた攻撃で、プロ20戦のキャリアを持つ三宅を圧倒。4回にボディーの連打を集めたところでレフェリーが試合を止めた。右拳を上げて声援に応えるも、笑顔はなし。「めちゃくちゃ焦った。倒されたので、倒し返したかったが、結果勝てて良かった。ダウンしてから落ち着いて戦えたことだけが収穫」と振り返った。

元日本ランカーの祖父弘さん、元東洋王者の父を持ち、小学3年時に大橋ジムでボクシングを始めた。U-15全国大会5連覇など幼少期から注目を集めたが、目標の東京五輪出場を逃し、プロ転向を決意した。

息子の勝利に、松本トレーナーは「心臓が止まるかと思ったが、デビュー戦ですごい経験ができた」と収穫を強調。大橋会長も「ダウンがなければ100%」と攻撃的なボクシングを評価した。父が3度挑戦も届かなかった世界王者に向け、親子二人三脚の戦いが始まった。【奥山将志】

◆松本圭佑(まつもと・けいすけ)1999年(平11)7月17日、横浜市生まれ。10年のU-15全国大会で初優勝し、その後5連覇。みなと総合高1年で全国高校選抜ライトフライ級優勝。卒業後は東農大に進学。家族は父好二さん、母久代さん、妹の姫乃さん。右ボクサーファイター