昨年末の世界戦での日本ボクシングコミッション(JBC)のドーピング検査で違反の疑いをかけられたWBOスーパーフライ級王者の井岡一翔(32=Ambition)が25日、東京都内の日本外国特派員協会で記者会見を行った。

-世界のボクシング、日本のボクシング界でドーピングのやり方、制度についてどのようか改革を求めているか

井岡 一番は選手が試合に集中できる、パフォーマンスに集中できる環境かつ尿検体を安心して預けてきっちりと平等にみてもらえる状況にしてほしいです。

-オリンピックがあと少しで開催されるわけですが、同じような問題、すざんなことがオリンピックでの行われてしまう心配はございますか

井岡 僕もアマチュア時代に北京五輪を目指してがんばっていましたが、当時日本のナショナルチームに選ばれたりして、ドーピングの抜き打ち検査を受けたことがあります。オリンピックに関してはちゃんとした機構のもとで検査しているので、心配はないと思います。

-多くの選手が同じようなことが自分にも起こる可能性があると心配する選手もいると思いますが、今回は特殊なケースか、オリンピックでも起こりえるか

井岡 今回の件で、僕をはじめ家族は傷ついて、事務関係者は大変な思いをしましたが、そのような気持ちになるのは僕たちだけで、今後そういう不手際だったり、そういうことが起こらないこと、他の選手にはこのような思いにはなってほしくないなと。試合に集中できて、安心して検査を受けられるボクシング界にしてほしいなと思います。

-オリンピックについての質問です。コロナなどの状況をみて中止の意見もあるが

井岡 考えれば考えるほど難しい状況なんだろうなと思いますが、僕もオリンピックを目指していた1人の選手として思うのは、自分が東京五輪内定選手であれば、今の状況ではやりたくないなと思います。

-開催そのものは反対と理解してよいか

井岡 やらないほうがいいんじゃないかと思いますね。選手も不安な中でコンディションを整えるのは大変なこと。みている方たちも見守るのはどうかと思いますし。スポーツで1番といっていいほどの祭典で、勇気や感動を与えられるのも一つあると思うが、世界を巻き込んだ大きな問題なので。不安な中でやるべきことでじゃないのかなと僕は思います。

○井岡の騒動経緯

4月26日 昨年大みそかの防衛戦で採取した井岡の尿検体に大麻や違反薬物が検出されたと一部の週刊誌が報道

同27日 JBCが井岡の薬物に関して倫理委員会で調査、審議中と発表。井岡事務所は大麻使用や違法薬物の摂取を全面否定

5月1日 井岡と対戦した田中が所属する畑中ジムはJBCに質問状を送付したと発表。「井岡選手のドーピング問題に関してJBCに対して大変疑念を持っている」と質問状を内容証明書で送付

同15日 畑中ジムの畑中会長が会見。8日にJBC側から回答を受け取ったとし、内容は「すべて納得できないもの」と不満をあらわに

同19日 JBC永田理事長らが会見し、倫理委員会の審議、調査の答申を発表。検査体制の不備を踏まえ「違反はなかった」と結論。処分せず、検査体制や情報管理の不備も認め、井岡や田中に謝罪。井岡も会見し「潔白が証明できた。今の体制で続けていくのは怖い」と発言

同20日 JBC発表を受け、田中は「混乱を招いたことは非常に残念」、畑中会長も「JBCの関係者はしかるべき責任をとるべき」と声明発表。JBCは公式サイトで報道各社に向け、おわび文書を発表

同28日 JBCが公式サイトで2度目のおわび文書を掲載

同31日 井岡の所属先Ambitionジムが日本プロボクシング協会に上申書を提出。役員退任のほか検査結果など個人情報がマスコミに漏れた原因の追及、国際基準に準拠したドーピング規定の整備、井岡と、対戦した田中恒成(畑中)への謝罪と名誉回復措置を要望した。