総合格闘家で札幌大谷高サッカー部OBの鈴木嵐士(あらし、24=トライフォース赤坂)のプロデビューが決定した。

5月14日の「GRACHAN61」(東京・大田区産業プラザPIO)のフライ級で、弘田颯志(22=SWAG GYM KYOTO)と対戦。親戚の故ラッシャー木村氏(享年68)譲りのファイティングスピリットで、伝説の階段を昇る。

プロデビューまで半月を切り、鈴木のトレーニング強度が日に日に上がってきた。相手の弘田は、極真空手ジュニアユースの元世界王者。一筋縄ではいかないが「対策は進んでいます。今はワクワクしかない」と、引き締まった表情で言い放った。

高3で全国高校総体サッカーに出場した。50メートル走5秒9の俊足を生かし、2回戦の星稜(石川)戦でゴールも挙げた。しかし、同期のMF大山武蔵(24=J3富山)、MF木村太哉(たかや、24=J2岡山)と、自分のプレーを比較し「サッカーでは(2人に)かなわない。違う道で勝負したいと思った」という。

札幌大2年で全日本選手権に出場したが、このころから“闘い”への思いが強くなった。サッカー部の朝練、大学の授業、夕方の部活動。それが終わると、ムエタイやブラジリアン柔術のジムに通い詰めた。卒業と同時に上京し、朝倉未来ら、総合格闘技イベントのRIZINで活躍する選手の多い、トライフォース赤坂の門を叩いた。

祖父正雄さん(故人)のいとこに、アントニオ猪木やジャイアント馬場と名勝負を繰り広げたラッシャー木村さん(享年68)がいる。「同じDNAを感じる」。スタンディングではサッカー仕込みの強いローキックに“当て勘”の鋭いパンチで対戦相手を追い詰める。デビュー戦の内容次第では、6月24日に札幌で開催されるRIZIN43で、対戦カードが組み込まれる可能性もある。「ド派手に勝って、次につなげます」。その名の通り、格闘界にアラシを呼ぶ。【中島洋尚】

 

◆鈴木嵐士(すずき・あらし)1998年(平10)10月17日、札幌市生まれ。札幌札内緑小2年の時にFCノルテでサッカーを始める。札幌大谷高3年で全国高校総体2回戦進出。同年の高校選手権道予選準優勝。札幌大2年で全日本大学選手権に出場。ポジションはMF。トライフォース赤坂でインストラクターも務める。家族は両親と弟。165センチ、63キロ。