横綱白鵬(32=宮城野)に重い処分が下された。日本相撲協会は20日、東京・両国国技館で臨時理事会を開き、元横綱日馬富士関の暴行現場に同席していた白鵬らの処分を決定。白鵬には1月の給料を全額不支給、2月は50%カットの処分を科した。横綱への処分は、07年の元横綱朝青龍以来。横綱審議委員会(横審)からは張り手などを多用する取り口の改善も指摘された。

 臨時理事会に先立って行われた横審の臨時会合で、白鵬に対して厳しい評価が出た。約1時間半の会合後、横審の北村正任委員長が会見を開き、白鵬と鶴竜について「横綱白鵬、横綱鶴竜は現場に同席していながら、事件の発生及び進展を抑えられなかった。このことの責任は軽く見るべきではない。両横綱に厳重に注意すべきである」と厳しい口調で言及した。

 その後行われた臨時理事会で、処分が決まった。1月の給料を全額不支給、2月は50%カット。処分理由について八角理事長は「最高位の横綱でありながら、目の前で起きた同じ横綱の暴力を防ぐことができなかった。白鵬は第一人者でありながら、暴力を防げず、大相撲の信用の失墜を招いた。その責任は軽くないと考えました」と説明。横綱の減俸処分は、07年に夏巡業を休場しながら母国モンゴルでサッカーに興じ、4カ月の給料30%カットとなった朝青龍以来となった。また、横綱鶴竜は1月の給料を全額不支給、関脇照ノ富士、十両石浦は鏡山危機管理部長(元関脇多賀竜)からすでに注意を受けたことも発表した。

 白鵬は横審の臨時会合後、危機管理委員会の高野利雄委員長に呼び出されていた。弁明の機会が与えられたが、白鵬は「いかなる処分も受け入れます」と潔く言ったという。白鵬はその後、東京・墨田区の所属部屋に戻り、処分内容を鏡山部長から通達された。夕方にジャージー姿で部屋を出たが、無言を貫いて車に乗り込んだ。

 今回は処分だけでなく、相撲内容にも“物言い”が付いた。横審の北村委員長は、白鵬の取り口について批判する投書が、委員会宛てに相当量届いたという。張り手やかち上げをする白鵬に対して「美しくない、見たくないという意見だった」と明かした。「横審のメンバーがいろいろな会合などで相撲の話をする時に、ほとんどの人がそう言っているということでありました。白鵬自身の自覚を促すか、協会としても工夫、努力してほしいと。こういう話がありました」と指摘した。

 ◆力士給与メモ 白鵬の現在の給料は282万だがそれとは別に、本場所があるごとに場所手当として771万8000円が支給される。また給与以外にも、懸賞金(初場所は手取り960万)、優勝賞金(1000万)などがある。