大関朝乃山(27=高砂)が、日本相撲協会の新型コロナウイルス対策のガイドラインに違反したことが19日、分かった。今日20日発売の「週刊文春」で、夏場所2日前のキャバクラ通いが報じられた。日本相撲協会の事情聴取に対し、当初は事実無根を主張していたが、夏場所11日目の打ち出し後に一転。再度の聴取に対し、事実を認めた。虚偽報告をしていたことで、厳罰は免れない状況になった。夏場所12日目から休場する。

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協会の看板でもある大関が発言を一転させて、ルール違反を認めた。20日発売の「週刊文春」によると、朝乃山が夏場所前に複数回にわたってキャバクラに行った。コロナ禍で本場所開催を続ける協会は、昨年から継続して不要不急の外出自粛を各部屋に通達している。緊急事態宣言中にもかかわらず、深夜営業のキャバクラに通っていた。

この報道を前に、協会は18日に朝乃山を事情聴取。芝田山広報部長(元横綱大乃国)によると、尾車コンプライアンス部長(元大関琴風)が聞き取り調査を行った。その際「(尾車同部長が)『こういう記事が出ているけどどうなの?』と聞いたら(朝乃山は)『事実無根です』と。そういう回答でした」と否定した。関係者によると「後に事実だと分かれば大変なことになる」と念を押されても、朝乃山はかたくなに否定し続けたという。

11日目(19日)の土俵に上がった朝乃山は、隆の勝に土俵際に押し込まれながらも、逆転のすくい投げで7勝目を挙げた。取組後は、オンライン取材の場に現れなかった。朝乃山は取組後、あらためて師匠の高砂親方(元関脇朝赤龍)とともに協会に呼ばれて聴取を受けると、発言を一転させた。スマートフォンに、キャバクラ通いの証拠が残っていた。

ガイドライン違反では、昨年7月場所に当時幕内だった阿炎が場所前と場所中にキャバクラに通い、出場停止3場所と5カ月の報酬減額50%の処分を受けた。朝乃山は責任の重い地位である大関ということに加え、協会の聴取に当初はうそをついていた。阿炎の前例がありながら、協会を裏切った罪は重い。阿炎を超える処分は免れず、当事者たちは解雇も覚悟しているという。

朝乃山は夏場所12日目から休場する。今後は日本相撲協会のコンプライアンス委員会が事実関係を調査し、その後の理事会で処分が決まる。横綱を狙えるはずだった期待の大器が、協会員はもちろん、多くの相撲ファンの信頼を失った。

<日本相撲協会の新型コロナ感染対策ガイドライン>

「日常生活における感染予防」との項目の1つに「不要不急の外出を自粛する。近隣以外への緊急な外出や必要な外出は、師匠が協会に相談した上で行う」と記載。「協会員の移動」との項目でも「基本的に外出禁止とし、不要不急の外出をしない」と書かれている。協会員のほかにマネジャーら部屋関係者、国技館内の売店スタッフらも対象となっている。場所後約2週間は師匠の許可を得た上で午後8時までの外出や外食が可能となるが、翌場所の番付発表後は協会から再び「不要不急の外出禁止」との通達が出される。今場所前は番付発表日の3日前となる4月23日から不要不急の外出が禁止されていた。