綱とりに挑む大関照ノ富士(29=伊勢ケ浜)が白星発進した。先場所敗れた東前頭筆頭の遠藤を寄り切り。審判部長で師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)が横綱昇進の目安として「(優勝に)準ずる成績」を求める中、終始圧力をかける好内容で滑り出した。5月には大相撲と縁が深い「永谷園」とCMタレント契約を3年ぶりに結ぶなど、周囲の期待を背負いながら最高位を目指していく。

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相撲巧者の相手を懐に入れず、前に出る相撲を貫いた。得意の右四つには組めなかったが、照ノ富士は足を止めずに攻めた。優勝に王手をかけた先場所14日目で、苦杯をなめた遠藤にリベンジ。「落ち着いて取れて良かった」とうなずいた。

幕内後半戦の審判長を務めた伊勢ケ浜親方は「1日一番やれることをやるだけ。それだけですよ」と期待を込める。横綱昇進の内規は「2場所連続優勝、もしくはそれに準ずる成績」。昇進目安について、同親方は2場所連続優勝の安定感を評価した上で「それ(優勝)に準ずる成績であれば可能性はある」と見解を示した。

綱とりに向けての後押しもある。夏場所前の5月1日付で大手食品メーカー「永谷園」とCMタレント契約を結んだ。15年から18年までの3年間も契約しており、大関復帰にあたり再契約。同社の担当者は「ケガに苦しんで下まで下がりながら、大関まではい上がった姿は当社のPRにもつながる」と説明した。綱とりに向けて高まる周囲の期待。当の本人は「(緊張感は)特にない。1日一番集中してやるだけ」と、目の前の一番だけを見据えている。【佐藤礼征】