今年4月に現役を引退した大相撲の君ケ浜親方(元関脇琴勇輝)が2日、力士の象徴であるまげに別れを告げ、断髪式後としては異例の“丸刈り親方”に転身した。2日、東京・両国国技館で断髪式に臨み、約250人の関係者がはさみを入れた。角界からは横綱照ノ富士や、同じ二所ノ関一門から芝田山広報部長(元横綱大乃国)ら親方衆、力士は小結高安、十両松鳳山、芸能界からはタレントの草野仁さん、お笑い芸人で好角家のはなわらが出席。止めばさみは師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)が入れた。

断髪式を終えると、整髪を行いながら「希望の髪形」を明かした。通常、断髪を終えた親方衆は整髪剤も使って髪形をバッチリ整えるが、君ケ浜親方は「初心に戻りたいので1回丸めます」と仰天発言。「長らくちょんまげ姿だったけど、ここでリセットして新しい幕開け」。丸刈りにするのは、角界入門に向けて小豆島高を1年で中退した時以来で、13年以上も前になる。6ミリのバリカンで頭を丸めて、鏡で自らの姿を見ると「いいじゃん! いいね」と気に入った様子。現役時代は突き押し相撲1本でファンを魅了した。周囲から頭の形を褒められると「あんなに頭からかましていたのに」と笑っていた。

断髪式では母榎本さゆりさんの番になると、さゆりさんも君ケ浜親方も目に涙を浮かべた。止めばさみを入れた師匠とともに土俵の四方へあいさつしたときも、目は赤かった。「(まげは)体の一部みたいなものですからね。ひとつ力士が終わったというか、自分の全てだった」。引退後は佐渡ケ嶽部屋付きの親方として、後進の指導にあたっている。「これが新しい始まりでもあるので、これから1人でも多くの若い力士が夢をかなえられるように自分なりに指導していきたいと思います」と、爽やかな表情で語った。【佐藤礼征】