日本相撲協会は27日、東京・両国国技館で定例理事会を開き、違法賭博店に出入りし、賭博に関与した幕内英乃海(32)と十両紫雷(しでん、30=ともに木瀬)について、英乃海を出場停止1場所と2カ月の報酬減額20%、紫雷はけん責の処分とすることを発表した。師匠の木瀬親方(元前頭肥後ノ海)は八角理事長(元横綱北勝海)から厳重注意を受けた。

報道陣の電話取材に応じた芝田山広報部長(元横綱大乃国)によると、英乃海の出場停止1場所は23日に千秋楽を迎えた初場所が対象で、3月に大阪で開催する春場所には出場できる。

両力士は昨年12月に違法賭博店に出入りしていた疑いが発覚し、師匠の木瀬親方の判断で初場所を休場した。調査を進めていたコンプライアンス委員会によると、両力士は埼玉県草加市の違法賭博店(昨年9月に摘発)への出入りと、賭博に関与したことを認めた。

出入りしたのは昨年7月30日と8月11日の2回で、日本相撲協会が外出制限を緩和していた時期。幕内力士だった英乃海に、紫雷は付け人として同行していた。コンプラ委によると、関与したのは違法スロット遊技機。英乃海の賭け金は10万円以下で、常習的ではなかったとしている。紫雷は当時幕下力士の立場だったため、英乃海と比べて軽い処分となった。いずれもコンプラ委の答申通りの処分となった。

初場所で東前頭8枚目だった英乃海は、来場所の十両陥落が確実。新十両として東12枚目だった紫雷は、関取として一番も取ることなく幕下へ落ちる。

◆コロナ禍の角界の不祥事 幕内の阿炎が20年7月場所中に不要不急のキャバクラ通いをして3場所の出場停止、減給処分を受けた。21年2月には当時の時津風親方(元前頭時津海)が、同年の初場所中にマージャン店に出入りをして、退職勧告処分が決定。同年夏場所中には大関朝乃山が、場所直前に不要不急の外出を繰り返したことが判明した。出場停止6場所、6カ月50%の報酬減額の懲戒処分が決定。虚偽の報告をしたこと、看板力士としての立場から処分が重くなった。賭博では、10年5月に野球賭博問題が発覚し、元大関琴光喜や大嶽親方(当時、元関脇貴闘力)が解雇処分を受けた。