東前頭6枚目の明生(27=立浪)が勢いに乗っている。

佐田の海を突き落としで下し、自身初の初日から7連勝。直近2場所は負け越して番付を落としていた三役経験者は、横綱照ノ富士と平幕朝乃山とともに無敗をキープして場所を盛り上げている。かど番の大関貴景勝は宇良を下して2敗を守ったが、大関とりの霧馬山は正代に敗れ2敗に後退した。

初日から負けなしの7連勝とした明生が、隙を逃さなかった。佐田の海の攻めをよく見ながら横にいなし、前のめりにきた相手の狙いを見透かしたかのように、ひらりとかわして突き落とした。「相手が近寄ってきた気がしたので、横から攻めようという感じでした」。前日に続いて自身の連勝記録を更新も「新しい1日だと思っているんで」と重圧を感じさせない口ぶりだった。

鹿児島・奄美大島出身で、最近の角界では珍しい中卒のたたき上げ。左四つに磨きをかけ、豊富な稽古量で番付を上げた。21年秋場所では自己最高位の関脇に昇進を果たしたが、腰のけがなどに悩まされて三役定着とはならず、その後は勝ち越しと負け越しを繰り返した。今年の初場所と春場所は2場所連続で5勝10敗に沈んでいた。

今場所はこれまでの不振を打ち消すような相撲が続く。好調の要因は不安解消にある。まぶたが入り込んで起こる逆さまつげに2、3年前から悩まされてきた。頭痛に襲われたり、右目が見づらくなったり。直接的に相撲に影響が出ることはなかったというが、「(医者から)このまま放っておくと見えなくなる」と言われ、春場所後に右目下を手術。術後の経過をみるために春巡業を休場せざるを得なかったが、目の違和感はなくなり相撲に集中できるようになった。

持ち前の目の良さを存分に発揮し、この日も白星を伸ばした。照ノ富士、朝乃山とともに無敗を守り、中日を迎える。今後は上位陣との対戦が組まれることも予想されるが、「先のことは考えず、その日、その日の相撲に集中している。明日もしっかり集中したい」。27歳の行く手に視界を遮るものはない。【平山連】