日本相撲協会は26日、大相撲名古屋場所(7月9日初日、ドルフィンズアリーナ)の新番付を発表した。

同協会が発表した報道資料の中に、しこ名の改名も含まれている。その中に、オールドファンには懐かしい「黒姫山」のしこ名があった。18年夏場所の初土俵から5年間、「田中山」のしこ名で相撲を取っていた境川部屋の21歳の幕下力士が、今場所から黒姫山に改名して土俵に上がる。本名は田中虎之介で、しこ名の下の部分の「虎之介」は変わらない。

先代の黒姫山は立浪部屋の力士として、70年代に幕内上位で活躍。初土俵の同期には渡辺大五郎氏(元関脇高見山)らがいる。最高位は在位8場所の関脇で三賞は8回受賞し、金星も6個獲得。立ち合いの破壊力ある、頭から当たるぶちかましの威力から、蒸気機関車(SL)の代名詞ともいえる「デゴイチ(D51)」の異名を取った。82年1月の初場所を最後に現役を引退。その後は親方として後進の指導に当たり、13年11月に停年退職。19年4月25日に70歳で亡くなった。

今場所、その「黒姫山」を名乗る田中虎之介は、先代黒姫山の田中秀男さんの孫にあたる。父は先代黒姫山の長男にあたる元幕下の羽黒灘で、親子3代力士として土俵を踏んでいる。東幕下30枚目で自己最高位だった5月の夏場所は、2勝5敗で幕下中位の壁にはね返された。4年前に他界した亡き祖父の偉大なしこ名「黒姫山」を受け継ぎ、関取の座を目指す。