関脇霧島(29=音羽山)が、14場所ぶり3度目の優勝に王手をかけた。先場所は敗れていた前頭王鵬を寄り倒して雪辱。4日目からの10連勝した昨年初場所を上回り、3日目から自己新の11連勝を飾って12勝1敗とした。1差で追っていた前頭琴勝峰が敗れて後退。後続は3敗の横綱豊昇龍と琴勝峰の2人となった。13日目を終えて2差を逆転した例はなく、優勝が目前に迫った。この日の白星は大関昇進目安の3場所33勝を上回る34勝目で、優勝すれば大関返り咲きとの“ダブル取り”が濃厚となった。
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前後左右に揺さぶられても、そのたびに歯を食いしばって踏ん張った。霧島は立ち合いで、王鵬の重いもろ手突きに、上体をのけぞらせて顔をゆがめた。直後の引きには、前のめりになったが、すぐに体勢を整えた。突き、押しで反撃し、土俵際まで追い詰めても粘られた。そこからは一進一退の激しい攻防となったが左を差し、持ち前のスタミナを生かして前に出て寄り倒し。2差の後続の勝敗に関係なく、14日目安青錦戦に勝てば3度目の賜杯を抱く、堂々の王手となった。
「最後まで諦めず、ちゃんと取れたかなと思う。最後まで我慢して取れた」。先場所は突き、押しの応酬で、ガムシャラに前に出て自滅。はたき込みで敗れていた王鵬に雪辱し、胸を張った。「熱くなったか」の質問に「どうですかね、ハハッ」と笑った。「みんな緊張している。この緊張感を楽しめれば」。精神的な余裕が、最大の強みだ。
今場所は後援者からの誘いが多く、この日の取組後で5日連続の会食だった。前日12日目までは3日連続焼き肉からのステーキ。この日の取組後、付け人からブラジル料理のシュラスコだと聞かされると「シュラスコ?」と、よく分かっていなかった。肉料理と聞くと「また肉か…」と言い、腹部をさする胃もたれアピールで報道陣を笑わせた。「場所中、こんなにお客さんと食事に行ったのは初めて」。ただ、会食では必ずビールを1~2杯飲み、楽しく過ごすよう心がけている。ストレスがないのも、好調を後押ししている。
23年夏場所後に大関に昇進したが、1年後に陥落した。優勝すれば今場所後の再昇進の可能性は十分。最初に昇進した当時と現在を比較し、師匠の音羽山親方(元横綱鶴竜)が断言した。「間違いなく今の方が成長している。最初の方が勢いはあったけど、今はいろんな経験がためになっている」。会食を楽しむ大人の余裕が自然と賜杯を引き寄せてきた。【高田文太】

