[ 2014年6月29日20時8分 ]オランダ代表のロッベン(左)とメキシコ代表のマルケス

 W杯ブラジル大会の決勝トーナメント1回戦オランダ―メキシコ戦が29日(日本時間30日午前1時)、フォルタレザで行われる。現地時間の昼すぎに試合開始となることから、30度超の気温が予想されており、体力消耗戦となることは必至だ。

 前回大会王者のスペイン、南米の強豪チリと一緒だったB組を、3戦全勝で首位通過したオランダ。今大会のオランダは、伝統の4-3-3の布陣ではなく、世界屈指のアタッカーであるロッベンとファンペルシーの2トップを最大限に生かす守備的な5-3-2をの布陣で、カウンター攻撃で手堅く勝利を重ねてきた。スペインを5発粉砕する最高のスタートダッシュを切ると、その後のオーストラリア戦、チリ戦でも相手を走らせて疲弊させ、カウンターで仕留める試合巧者ぶりを発揮してきた。

 一方、W杯開催国のブラジル、クロアチア、カメルーンが一緒だったA組を、2勝1分けと無敗で乗り切って2位通過を果たしたメキシコ。こちらも、5-3-2の布陣で戦ってきたが、オランダとは違ってボールを支配する戦略とカウンター攻撃を巧みに使い分けながらサイドバックが果敢に攻め上がるなど、柔軟な戦いを見せてきた。その結果、ブラジルとは引き分け、難敵クロアチアには勝利、6大会連続での決勝トーナメント進出を果たしている。

 ◆オランダ代表◆【5-3-2】

 予想スタメン

 GK

 シレッセン

 DF

 ヤンマート、デフライ、フラール、マルティンスインディ、ブリント

 MF

 デヨング、スナイダー、デグズマン

 FW

 ロッベン、ファンペルシー

 負傷者

 MFフェル

 出場停止者

 なし

 1次リーグ最終戦のチリ戦を累積警告のために欠場したファンペルシーが復帰する。一方、チリ戦で先制ゴールを決めたフェルが練習中に太もも裏を痛めたため、欠場が濃厚だ。また、1次リーグのオーストラリア戦で脳震とうを負ったマルティンスインディの出場も微妙な状況となっている。仮に出場できなければ、チリ戦と同様にブリントを左センターバックの位置に据え、カイトを左サイドバックで起用する布陣が考えられる。

 ◆メキシコ代表◆【5-3-2】

 予想スタメン

 GK

 オチョア

 DF

 ロドリゲス、マルケス、モレノ

 MF

 アギラル、エレラ、サルシド、グアルダド、ラジュン

 FW

 ドスサントス、ペラルタ

 負傷者

 なし

 出場停止者

 MFバスケス

 中盤アンカーのバスケスが累積警告により出場停止となる。1次リーグ3戦でパスを的確に散らし、相手の攻撃の芽を摘む役割を担っていた戦術の根幹を成す選手が不在となるため、メキシコにとっては大きな痛手。代役にはベテランのサルシドを起用するか、エレラを1列下げて起用する策が考えられる。

 ★注目選手

 ◆DFロン・フラール(オランダ)

 当然ながら強力2トップが大きな注目を集めている。しかしここでは、不安視されていた守備をうまく統率しているフラールを注目選手に挙げたい。フィジカルに優れ、空中戦に絶対の強さを誇るアストンビラのDFは、スピードに難を抱えている。そのため、基本的には自陣の深い位置にディフェンスラインを設定しているが、スペイン戦では思い切ったラインコントロールで全体をコンパクトに保っていた。ボール保持率に優れるメキシコ戦でも、彼の大胆なラインコントロールで中盤でのプレッシングが機能すれば、今大会のオランダ最大の武器であるカウンターを発動し易い状況となるだろう。

 ◆DFラファエル・マルケス(メキシコ)

 4大会連続でW杯に出場している35歳のベテランDFに注目したい。1次リーグ突破のかかったクロアチア戦では、セットプレーから1ゴール1アシストの大活躍を見せるなど、攻守の要として機能。最後尾から正確なフィードを前線に通してビルドアップの起点となり、守備面でも要所を抑えたタイトなマークで相手FWを封殺している。オランダが誇る超強力2トップを封じることができるかは、マルケスの経験値に裏打ちされた読みの鋭い守備が鍵となる。【超ワールドサッカー】