SKE48佐藤すみれ(24)が、11月6日にグループ卒業を発表した。主な活動は年内いっぱいで、卒業後は芸能界からも引退するという。小さなころからミュージカルに出るなど、芸能界で長く活躍してきただけに、意外な決断だった。

 AKB48の7期生として劇場デビューしたのが09年。それから1年足らずで、ホリプロ所属が決まった。ミュージカル「ピーターパン」出演、映画「燐寸少女」で主演を務めるなど、機会に恵まれ、エリート街道を突き進んできたようにも見えるが、実は不器用なタイプだ。激しく踊ることが信条のSKE48にあって、ひときわ美しく見せるダンスの表現力も、人よりもたくさん時間をかけて、愚直に練習を重ねた成果だった。

 14年にSKE48へ移籍した当初は、地元メンバーびいきのファンから支持を得るのに苦労してきた。それでも、弱音を吐くこともなく、時間をかけてじっくり関係を築いてきた。

 ここ1、2年で、佐藤から「私、SKEに来て本当に良かったと思ってるんですよ。後輩にいろいろ教えてあげたいなって思ようになって。厳しくて嫌われ者になってもいいから」という話を聞くようになった。自分の役割を見つけたようでホッとしたが、今思えば、卒業に向けた準備を進めていたようにも思える。

 最近は、年下のメンバーを食事に誘うことが増えたという。特にお気に入りは、同じチームの浅井裕華(14)。ごちそうしてあげることが多く、メンバーたちに「お財布」「銀行」「ATM」などといじられるようになっていたが、佐藤もまんざらではなさそうな反応を見せていた。

 卒業を発表した公演で、佐藤は「残り1カ月、マジでチームEにささげようと思いました。こんな好きになったグループも、チームもない。本当にみんなのことが好きなんです」と涙ながら訴えた。シンプルだが、心に突き刺さる言葉だった。

 「普通の女の子に戻ります」という佐藤の次のステップを見守ることはできないが、優しく、仲間思いの性格だから、どんな世界でもとけ込めると信じている。心配なのは、預金口座の残高だけだ。