1973年公開のウォルト・ディズニーの名作アニメを実写映画化した「白雪姫」が、3月21日に北米4200カ所の映画館で公開されるも、興行が予想を大幅に下回る苦戦を強いられています。

約2億5000万ドルを投じて制作された同作は、主人公の白雪姫をコロンビア系の米国人女優レイチェル・ゼグラーが演じたことで公開前から原作の「真っ白な肌を持つ白雪姫」役にふさわしくないと批判が殺到。さらに、ゼグラーがオリジナル版を「時代遅れ」だと一蹴し、「王子に救われることも、真実の愛を夢見ることもない白雪姫を描いている。彼女はリーダーになることを夢見ている」と発言したことも、火に油を注ぎました。

※写真はイメージ
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その後も、パレスチナ支持を表明しているゼグラーと邪悪な女王を演じたイスラエル出身のガル・ガドットとの政治的対立がメディアをにぎわせるなど、家族向けのディズニー映画としては致命的なスキャンダルが要因となり、公開週末3日間の興行は4300万ドルと低迷。2週目にはボックスオフィスで早々に2位に転落し、10日間の興行は6681万ドルと大コケ。ラテン系の白雪姫に、恋をする相手は反乱軍のリーダーという設定は、世間に受け入れられませんでした。

実写化して大成功した「美女と野獣」(2017年)は公開週末に1億7475万ドルを稼いでいることと比較すると今後、制作費の回収は困難だと言わざるを得ませんが、世界のディズニーといえども大コケした作品は意外に多くあります。過去の大赤字となったディズニー映画を紹介します。

■マーベルズ(2023年)

「マーベルズ」主演のブリー・ラーソン(2017年3月撮影)
「マーベルズ」主演のブリー・ラーソン(2017年3月撮影)

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)史上最大の失敗作となったのは、アベンジャーズ最強ヒーローのキャプテン・マーベルを主役とするシリーズ第2弾「マーベルズ」。約2億7000万ドルの制作費に対し、世界興行は1億9900万ドルでした。俳優組合のストライキによってPR活動ができなかったことも要因の一つとされていますが、ファンからも批評家からも酷評され、推定3億ドル以上の損失を出したと伝えられています。

■私ときどきレッサーパンダ(2022年)

批評家からは称賛された「私ときどきレッサーパンダ」ですが、劇場とストリーミングサービスDisney+の両方で公開するという決定が興行不振を招き、3億4000万ドルもの損失を出したといわれています。

■ジョン・カーター(2012年)

「ジョン・カーター」主演のテイラー・キッチュ(2012年1月撮影)
「ジョン・カーター」主演のテイラー・キッチュ(2012年1月撮影)

エドガー・ライス・バローズ氏による古典SF小説「火星のプリンセス」を映画化した「ジョン・カーター」は、大ヒットが期待されていたものの興行的に失敗。世界興行は2億8400万ドルで、2億5000万ドルとされる制作費は辛うじて回収できたものの2億ドルを超える損失を出したとされています。

■2分の1の魔法(2020年)

新型コロナウィルスによるパンデミックの影響を受けた作品の一つが、ピクサーによるファンタジーアドベンチャー「2分の1の魔法」。公開直後にロックダウンによって劇場が数カ月間閉鎖され、再開後に再上映されたものの当初予定していたほどの興行成績を上げることができませんでした。2億ドルの制作費に対して世界興行は1億3300万ドルで、およそ2億6700万ドルの赤字になったと伝えられています。

■ローン・レンジャー(2013年)

ジョニー・デップ(2015年撮影)
ジョニー・デップ(2015年撮影)

ジョニー・デップ主演のアクション映画「ローン・レンジャー」は、上映時間の長さとつまらないストーリーで酷評され、2億2500万ドルの制作費を投じたにも関わらず、世界興行は2億6000万ドル止まりに。高額な宣伝費をまかなうことができず、ディズニーは1億ドル以上の損失を被ったと伝えられています。

【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)