面白い舞台を見てきました。東京グローブ座で上演されている「すべての幸運を手にした男」(12月2日まで)です。「セールスマンの死」「るつぼ」などで知られる米国の劇作家アーサー・ミラーが29歳の時に書き上げた初期の作品で、ミラー作品をよく見ている私も、今回が初めての観劇でした。ありえない偶然によって事業の成功という幸運を手にしたものの、周りの人には不幸が訪れ、その積み重ねの中で徐々に自分を見失っていく男デイヴィッドを主人公にした話です。2回の休憩をはさんで3時間10分と上演時間の長い舞台でしたが、引き込まれて、最後まで飽きることはありませんでした。
主役デイヴィッドを演じたのは川島如恵留。人気グループTravis Japanのメンバーで、単独主演は今回が初めてです。実は、彼の子役時代の舞台を見ています。劇団四季のミュージカル「ライオンキング」で、ヤングシンバを演じていました。当時のパンフレットを見ると、笑顔の川島少年の写真が掲載されています。それから20年近い年を経て、再び彼の舞台を見て、ある種の感慨があります。というのも、子役として頑張っていても、大人になると、舞台から遠ざかるケースがほとんどだからです。ミュージカル「レ・ミゼラブル」でガブローシュ少年を演じた山本耕史、高橋一生、浅利陽介、加藤清史郎、「アニー」の蒼井優など、大人になっても活躍している人は数少ないでしょう。今回の舞台で確かな爪痕を残した川島の次なる舞台が楽しみです。【林尚之】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「舞台雑話」)




