4月に見た舞台で、印象に残ったミュージカルがあります。竹内涼真が主演した「奇跡を呼ぶ男」で、1992年に公開された映画をもとに2010年にミュージカル化されてブロードウェーに進出した作品です。竹内は21年に「17AGAIN」でミュージカルに初挑戦し、今回が5年ぶり2度目のミュージカルでした。

竹内が演じたのは、バスで全米各地を渡り歩きながら、伝道集会で様々な「奇跡」を起こして献金を集める伝道師のジョナス・ナイチンゲール。その奇跡にはからくりがあって、事前に町の人々の素性をひそかに調べ上げ、それぞれの悩みなどを言い当てることで信じさせて献金を巻き上げる、インチキ伝道師でした。しかし、バスの故障で立ち寄ることになった小さな町で遭遇した出来事で、ジョナスは大きく変わっていく。偽りを奇跡と言い放つふてぶてしい男が、心の片隅にあった人を思いやる良心に目覚め、つかの間の奇跡を起こします。竹内ジョナスには、見る者に奇跡を信じさせてしまうカリスマ性があり、その繊細な演技に説得力を感じました。「美女と野獣」「アラジン」などで知られる作曲家アラン・メンケンが手掛けたゴスペル調の歌を、竹内はパワフルに歌い上げ、聴く者の心を揺さぶる熱量がありました。

「17AGAIN」が試運転とすれば、2回目の舞台ではミュージカル俳優竹内涼真の真骨頂を強く印象付けました。竹内はドラマや映画の仕事も多く、3度目のミュージカルには少し時間がかかるでしょう。「奇跡を呼ぶ男」の再演になるのか、新しい作品への挑戦になるのか。ミュージカル俳優竹内の次回作に注目です。【林尚之】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「舞台雑話」)