「キャラクターが勝手に動きだす」。筆が乗った作家が時々口にする言葉だ。天才ハッカーにして、トラウマにあらがうように鍛え上げたか細い体。北欧ミステリー「ミレニアム」シリーズのヒロイン、リスベットは、原作者ラーソンの急死以降、一層魅力を増したように思える。書き継いだラーゲルクランツの第4部が原作。主人公の新聞記者ミカエルを脇に追いやり、彼女の比重は一段と大きい。

物語は過去のトラウマを並行して描き、病的犯罪者の父に育てられた双子の妹カミラが登場する。この悪の権化のような妹との戦いが本筋だ。国際的なIT犯罪に舞台を広げ、能力全開のリスベットの活躍にぐいぐい引き込まれる。

主演のクレア・フォイはショートカットがよく似合う。冷徹さを強調した前作「ドラゴン・タトゥーの女」(11年)のルーニー・マーラより目が優しい。意外なもろさというヒロインのもうひとつの面がうまい具合ににじみ出る。

「ドント・ブリーズ」(16年)のフェデ・アルバレス監督は、真っ黒なリスベットに赤い衣装のカミラを際立たせ、映像は美しく、分かりやすい。シリーズ未見の人も楽しめるはずだ。【相原斎】

(このコラムの更新は毎週日曜日です)