男女は、時に理由もなく気になり、ひかれあってしまうもの。その気持ちのざわめきが恋なのか、愛なのか、それとも情なのか分からなかったり、互いに好意があってもタイミングが悪く、すれ違った結果、結ばれないこともある。恋愛に不器用だと感じる人は1つくらい、思い当たる節を見つけられそうな1本だ。
辻一路は人当たりが良いと評判の裏で、成り行きで会社の先輩、後輩と二股交際を続ける。その中、コンビニで出会った葉山浮世を事故寸前の危機から救う。その場限りのウソをつき、男性を誘惑するような言動を無意識にする浮世に危うさを感じつつも、脇の甘さと雰囲気が気になって関わってしまう。その結果、相次ぐトラブルに巻き込まれ、交際相手も仕事も失う。
国際的に評価の高い深田晃司監督が、初めて漫画の映像化に挑戦し、19年にメ~テレで放送された連ドラを再編集した劇場版。地方局発の作品が、コロナ禍で開催が見送られた世界3大映画祭の1つ、カンヌ映画祭の公式ラインアップに選ばれたのは快挙だ。上映時間は約4時間だが、同監督が手掛けた脚本はもちろん、辻役の森崎ウィン、浮世役の土村芳をはじめ、俳優陣の豊かな演技が長さを感じさせない。中でも、北村有起哉演じる裏社会の人間は、見逃してはいけない。【村上幸将】
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