まったくと言っていいほど、ブレない。甘いささやきにも、なびかない。一瞬、誘いに乗りそうに見せかけるのは情報を引き出すための高等テクニック。銀幕デビュー45周年、アクションスターとして一時代を築き上げ、71歳になったリーアム・ニーソンには「孤高」という言葉が似合う。

記念すべき100本目の作品で演じるのは、1930年代に米作家レイモンド・チャンドラーが生み出した人気キャラ「探偵フィリップ・マーロウ」。ハンフリー・ボガート、ロバート・ミッチャムら名優が演じてきたハードボイルドのヒーローだ。

1939年、ロサンゼルス。ある日、ブロンドの美女から「消えた愛人を捜してほしい」という依頼が舞い込む。この愛人の“怪死”をめぐり、それぞれの思惑が交錯する。調査を進めるうちに映画産業が急成長を遂げるハリウッドの闇が明らかになっていく。

チャンドラーの小説にマーロウの有名なセリフがある。「タフでなければ生きていけない。優しくなければ生きている資格がない」。こびない、群れない、忖度(そんたく)しない。ニーソンが男の美学を見事に体現している。【松浦隆司】

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